12月の終わりに京都の山沿いで雪化粧をした日があり、奥嵯峨から愛宕念仏寺に訪れてきました。
今シーズンの京都市街地は、まだ本格的な積雪とはなっていませんが、山沿いを中心に雪化粧をした日も出てきています。2012年~2013年のシーズンは、西大路丸太町(円町)にある気象台では、1cm以上の積雪が観測されないまま冬が終わってしまいました。今年もまだ1cm以上の積雪は観測されておらず、京都観光の面では本格的な雪景色も待ち遠しいところです。
京都で雪景色を見たい場合は、最も確率が高いのは鞍馬山の山中です。鞍馬寺の本殿金堂までは雪が無くとも、そこから義経の背比べ石を目指して山に分け入れば、うっすらと雪化粧をして木の根道が幻想的な光景となっていることがあります。次いで大原。鞍馬寺は東向きの日当たりが良いため、雪の残りやすさでは、山あいにある大原の方に分があります。京都市街地に雪が無くても、大原には雪が積もっていることもありますが、大原まで雪を期待していっても、全く雪がないこともよくあり、その見極めが非常に難しいところ。事前にライブカメラを見てから向かわれることをお勧めします。
さて、京都の山沿いを中心に雪化粧をした12月28日。今回は西の方へと行ってみることにしました。市街地からは、嵐山の奥にそびえる北松尾山(山上ヶ峰)が真っ白になっているのが見えました。天龍寺の門からは、その様子が綺麗に見えました。京都の雪といえば北ばかりに目が行きがちですが、山に沿って雪雲が流れ込みやすい西の方も意外と雪の降るエリアです。
嵐山周辺は積雪こそありませんが、雪が舞って冬らしい風情がありました。清凉寺辺りまで来ると一時的に雪が激しく降り、美しい光景となりました。雪の日は当然に寒いですが、人も少なく、勢いよく舞う雪はかえって華やかささえ感じさせてくれます。「五台山」の額が上がる清凉寺。釈迦37歳の姿を写したという生身(しょうしん)の釈迦如来像を持ち帰った僧・奝然(ちょうねん)は、中国の五台山に倣って愛宕山麓に伽藍を築こうとしました。奝然の死後、遺志を引き継いで創建された清凉寺の境内からは、愛宕山が美しく望めます。
さらに進んで奥嵯峨の鳥居本(とりいもと)までやって来ると、より山に近い地勢もあってか、茅葺屋根にうっすらと雪が積もっていました。鳥居本は、京都の市街地では、三年坂や祇園新橋、上賀茂と並んで重要伝統的建造物群保存地区に指定されているため、時代を遡っているかのような風情ある光景に出会える地域。薄雪のその光景は、一層趣を引き立ててくれました。
そして愛宕念仏寺にやってきました。境内を拝観すると、千二百羅漢像も「雪化粧」をしていました。これ以上積もると、石像の顔が埋もれてしまうため、これくらいの雪がちょうどよい「化粧」に見えますね(笑)早朝の境内は私だけの貸切で、ゆっくりとお化粧をした石仏を見させて頂きました。この日の天気は回復傾向で、次第境内に日が差してきていました。
太陽の力は非常に強力で、気温の高低よりも影響が大きく、うっすらと積もった雪は瞬く間に消えていってしまいます。京都の雪は儚いため、強い日差しが出る10時前には撮影を終えるのが常となっています。愛宕念仏寺でオシャレになった石像を眺めた後は、トンネルを抜けて清滝まで行ってみましたが、既に日が差していたためか雪は残っていませんでした。シンボルである渡猿橋越しに、遠くの雪山を撮り、この日は帰路につきました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。