八坂神社から四条通では、9日に祇園えびす船巡行が行われました。
八坂神社境内には北向蛭子社があります。平安時代から祀られているとされる古い社で、大坂の今宮戎の元社とされています。9日・10日と盛大に十日えびすが催され、9日夕方には七福神が乗り込んだ「えびす船」が四条通を烏丸通まで巡行します。さらには全国から選ばれた福娘たちが福笹を四条通界隈の商店に配っていきます。
出発は15時からですが、14時半頃に七福神や福娘が北向蛭子社に参拝をしてから隊列を整えていきました。船には七福神が乗り込み、弁天様だけはお面をはずして素顔でいることが多いです。一人だけ素顔だとやはり目を引きます。そして福娘は前と後ろに並び、前のほうには普段は北向蛭子社にいらっしゃるえびす像もおられます。そして、軽快な太鼓のお囃子も響いて、華やかな雰囲気で行列は進んでいきます。
行きは四条通南側の商店に福娘が福笹を配っていきます。コンビニやカフェも例外ではありません。巡行は八坂神社から四条烏丸までの比較的長丁場。途中、四条寺町の御旅所脇にある冠者殿社(かんじゃでんしゃ)にも神社の方が参拝をされます。ご祭神はスサノオノミコトで、八坂神社と同じですが、八坂神社は穏やかな和魂(にぎみたま)なのに対し、こちらは猛々しい荒魂(あらみたま)をお祀りしています。
スサノオは姉であるアマテラスと誓約(うけい)を交わしたことから、約束事の神としても信仰されています。昔の商人は日々商売ができることを感謝し、また安く仕入れたものを高く売って利益を得るという罪の意識から、年に一度大安売りをして利益の還元に努めたそうです。商売に関わる神社ですので、参拝は欠かせないのでしょう。
行列は四条烏丸で折り返すと、長刀鉾町の会所前に設けられた祭壇にも参拝をされます。八坂神社の祭礼である祇園祭の山鉾町を代表しての拝礼なのでしょうか。町内の役員の方々が集まっており、真冬の寒い時期に少しだけ祇園祭を思わせていただける一瞬でした。八坂神社へと行列が戻る際は、四条通の北側の商店に福笹を配っていかれました。
16時40過ぎに一行は八坂神社へと戻り、最後に八坂神社の本殿に参拝をして終了となりました。関係者や福娘の皆様、一貫して威勢のよい太鼓を聞かせてくださった皆様や、七福神の皆様など、本当にお疲れ様でした。神社のほうから福を届けて下さる素敵な行事だと思います。
八坂神社の境内では9日・10日の二日間だけ、三社詣が行われました。境内の御本殿、蛭子社、大黒社の三社に参拝することで、それぞれのご利益を授かろうというもので、宝舟が描かれた専用用紙に朱印を押して持ち帰ることもできます。本殿のスサノオと、大黒社のオオクニヌシ、蛭子社のコトシロヌシはそれぞれ、親→子→孫の関係にもあたり(記紀によって異なる)、家運長久の意味でも縁起が良いですね。大黒様は七福神の一人でもあります。境内には軽快な「商売繁盛で笹もってこい♪」のお囃子も流れて華やかな雰囲気。福笹もどんどん売れていきます。機会があれば、八坂神社の十日えびすにも足を伸ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。