時間は9時を過ぎ、日差しが戻ってきたこともあって雪はどんどん融けていきました。雪の量が多かった東山方面では、もう少し持ったかもしれません。大覚寺の大沢池でも、心経宝塔の雪は私が到着したころには消え去っていました。ただ、まだ池の周りの地面には雪が残り、美しい光景を見せてくれました。
大沢池の奥の方には、よく猫がいます。私の学生時代からいたと思いますので、代変わりはしているにせよ恐らくどなたかによって世話をされているのでしょう。この日も、雪の中で姿を現してくれました。とても人に懐いており、猫の方から近寄って来ては、ゴロゴロと喉を鳴らします。朝から走り回ってきた疲れを癒してくれるひと時でした。
大沢池を後にして、天龍寺へと向かってみました。しかし、雪の多くは融けていて、本格的な雪景色を望むのは難しくなっていました。天龍寺の曹源池庭園は、室町時代のはじめの禅僧・夢想疎石(むそうそせき)によって造られたお庭で、嵐山の借景が見事です。お庭の枯山水部分はまだ雪が残っていて、雪の美しさの片鱗は感じることができました。
天龍寺を離れて野宮神社へと向かって見ました。境内の奥には「じゅうたん苔」と呼ばれる苔の美しいエリアがあります。そこには小さな木の橋もあるのですが、これは渡月橋を模しているといわれています。現実の渡月橋の周りの雪はほとんど融けていましたが、野宮神社の橋はまだ見事な雪景色を見せてくれていました。また周辺の竹林も雪が残りやすく綺麗でした。
この日は法輪寺まで行ってきましたが、さすがに雪を望むのはギリギリ限界という感じでした。西の方は雪が少なかったですね。法輪寺の展望台からは比叡山も望むことができ、望遠レンズで撮ってみると雄大に写ります。京都の雪景色は儚い一瞬の出来事。「雪降れば 冬ごもりせる草も木も 春に知られぬ花ぞ咲きける(古今和歌集)」からこそ、まるで子どものようにワクワクした気持ちで早起きができます。次回の京都の雪は直近はなさそうですが、今シーズンあともう1回くらいは雪景色をお届けできるかもしれません。皆様もチャンスがありましたら、お気に入りの場所へと足を運んでみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。