吉田神社の節分祭 追儺式(鬼やらい) 2014年

吉田神社 節分祭 追儺式
2月2日に、吉田神社の節分祭の追儺式(鬼やらい)が行われました。京都を代表する節分行事で大変な混雑ですが、今年も最前列で貴重な資料を得てきました。

吉田神社の節分祭 追儺式吉田神社の節分祭は京都でも有名で人気があり、多くの参拝者で賑わいます。追儺式(ついなしき)は、鬼やらい神事とも呼ばれています。平安時代に宮中で行われていた行事を古式に則って再興したもので、三匹の鬼を、矛と盾を持った「方相氏(ほうそうし)」が追い払います。開始は18時からですが、前で見るためには最低でも2時間ほど前には行かれて、本殿向かって左手側で場所を取って待ち続けることが必要です。今年は日曜日ということもあって、例年以上に混み合い、最前列は2時間15分ほど前には埋まりました。本殿向かって右手側や南側では見ることはできませんのでご注意ください。

吉田神社の節分祭 方相氏18時になると、鬼を追い払う方相氏(ほうそうし)らが本殿前に入り、陰陽師が大祓いの祝詞を唱えます。方相氏は中国伝来の呪術師で、金色の目を4つもった面をかぶり、神通力のある矛と盾を持って、矛を地面に打ち鳴らし大きな声を出しながら宮中を厄除けのために歩いたそうです。4つの目は、東西南北を見定め、人間の目には見えない邪気を見つけ出すといわれています。しかしこの容貌です。実は、平安時代の終わり頃になると、目に見えない邪気に変わって、方相氏自らが鬼として追われる存在に変わって行きました。

吉田神社の節分祭 追儺式さて神事の後、鬼が唸り声をあげて堂々と入ってきました。鬼は疫病の象徴で、その「鬼=疫病」を退散させる鬼やらいは、一年の境目でもある立春の前日の節分に行われ、厄を祓って新年を迎える行事です。今から1300年程前の文武天皇の時代に、様々な疫病が流行った際に始められました。その後、一度鬼やらいの行事をやめたところ、再び疫病が流行ってしまったため、以後は宮中の大切な行事として行われるようになります。なお、鬼の姿は「鬼門」である「丑寅(北西)」の方向からの連想で、牛の角を付け、虎の革のパンツをはいています。

吉田神社の節分祭 追儺式吉田神社では、赤鬼は世の中の諸々の怒りを現わし、青鬼は同じく悲しみを、黄鬼は同じく苦しみを現わしています。鬼たちの唸り声や動きな大きな演技も迫真で、見る者を引きこんで行きます。鬼たちは見物客を驚かしながら舞殿を回り、方相氏を挑発するようなしぐさを見せます。最初は静観していた方相氏も、それを見かねたのか矛と盾を打ちならして鬼をやっつけにかかるのです。鬼たちはこん棒を振りかざして方相氏に立ち向かいますが、方相氏の「うぉ~!」という大声とともに、威力にやられて後方へと吹き飛ばされ、方相氏につき従う「侲子(しんし)」という童子も、勇ましい掛け声をあげて鬼を追いつめていきます。

吉田神社の節分祭 追儺式やがて鬼は弱りきって退散していきます。そしてトドメとして、殿上人が桃の木で作られた弓で葦(よし)の矢を放って鬼を完全に追い払ってしまいます。桃は、中国では神聖な果物とされ、葦とともに魔力を封じる力があるとされています。こうして退散した鬼たちは大元宮へと向かいますが、こちらでも追い払われて、最後は竹中稲荷神社まで帰って行きました。鬼は見ている人が少なくなっても、最後まで唸り声をあげて、暗闇の中に響く声は、なかなか恐ろしい雰囲気を醸し出しています。竹中稲荷神社では、鬼たちの写真を撮らせて頂けました。ポーズをとってくれるなど、実は気前のよい鬼たちです。

吉田神社の節分祭 追儺式以上で、追儺式(鬼やらい)は終了。今年は2年前以上によい写真と動画を撮って来ましたので、是非動画の方もご覧ください。その場で見ているような映像を撮れたのではと思います(フラッシュの点滅にはご注意ください)。また、講座で多くの方にお見せするのが楽しみです。吉田神社の追儺式は早くからの場所取りが必要ですが、2年前と比べると今年はずいぶんと「楽」でした。それもそのはずで、2年前は神事が始まる18時で、何とマイナス1.5℃という気温の低さ。記憶が「しんどかった」となるはずです。今年は同じ時間で14.5℃もありました。一転して今日(5日)は4.0℃までしか気温が上がりませんでしたが、皆様も体調を崩されぬようご注意ください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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