千本閻魔堂 節分のゑんま堂大念仏狂言

千本閻魔堂 大念仏狂言
2月3日に、千本閻魔堂ゑんま堂大念仏狂言が奉納されました。節分の奉納は、閻魔様の目の前で奉納が行われます。

因幡薬師・平等寺 万灯会多彩な行事がある京都の節分。いろいろとご紹介をしたいと思いながら、各地の雪景色の記事を書いていたのでなかなか進みませんね(笑)3日の夜には、まず因幡薬師の名で知られる平等寺に訪れてきました。平等寺の節分では万灯会が行われ、境内が蝋燭の柔らかい灯りで照らされます。この灯りは星に祈るいわゆる「星まつり」、あるいは「星供」として行われています。

因幡薬師・平等寺 万灯会星は人々の運命を支配するとされ、「不幸な星の下に生まれた」といった言葉の使い方にも「星」が運命を司るというものの見方が見え隠れしています。その人が生まれ持ち終生変わらない星と、1年ごとに巡りを変える星との組み合わせによってその年の運命が左右されるという考え方に基づき、新たな1年を迎える立春を前に、星を祀ってさらなる開運と厄除けを祈願します。こうした儀式は真言宗の寺院で主に行われており(平等寺も真言宗)、京都では、醍醐寺や大覚寺などでも祈祷が行われています。

因幡薬師・平等寺 「ん」のつく食べ物優しい灯りの灯る境内で、先着100名に配られているのが「ん」の付く食べ物。江戸時代以降、節分(や冬至)に合わせて「ん」が2つ付く食べ物を頂いて、その年の無病息災を願う風習が行われるようになりました。「ん」は、「運・鈍・根」に通じ、その三拍子がそろって初めて出世できるということで、縁起も担いでいます。平等寺で頂いたのは「なんきん、ぎんなん、れんこん、いんげん、にんじん、きんかん、かんとん(さつまいも)」です。冬のこの時期としては彩りが鮮やか。味覚のみならず、目も楽しませてくれました。

千本閻魔堂続いて向かったのは、西陣にある千本閻魔堂。閻魔堂の名でも知られる通り、お寺の御本尊は閻魔大王で、その両脇には閻魔様に仕える検事(司命尊)と書記役(司録尊)の像もあります。堂内にうっすらとだけ残る壁画は、狩野元信の筆による地獄絵で、本来のお堂の中はまさに閻魔様のいる地獄の世界そのものでした。実は、戦国時代に織田信長とも親交のあった南蛮人、ルイス・フロイスはこの千本閻魔堂を訪れて、まだ鮮やかだった頃の地獄絵の迫力を伝えています。異国の人物にとって、閻魔と地獄の世界はかなり恐ろしく見えたようです。

千本閻魔堂 大念仏狂言節分に奉納される「ゑんま堂大念仏狂言」はその本堂内で、まさに閻魔大王像が見つめる眼の前で行われます。5月の奉納時は、野外の舞台にて行われますが、さすがに真冬の夜では寒すぎるということですね。奉納は19時半から。19時前に到着したところ、堂内に設けられた長椅子の席はほとんどが埋まっていました。その後もさらに人は増える一方で、始まるころにはお堂の外からもなんとかして見ようという方でいっぱいとなっています。5月の時もそうですが、閻魔堂の大念仏狂言は地元の方から高い人気があります。

千本閻魔堂 大念仏狂言京都の節分では、2日・3日に壬生寺の壬生狂言が13時から1時間おきに20時まで行われていました。こちらも大人気で、1時間程前に行って待たないと、中に入ることさえできない時間帯もあります。壬生狂言や清凉寺の嵯峨大念仏狂言は無言で行われますが、閻魔堂の狂言はセリフがあり、初心者でも親しみやすく分かりやすいです。もちろん無言劇は、無言だからこそ仕草が大きかったり鐘の音が響いたりと、それぞれの良さがありますので、是非見比べて頂きたいですね。

千本閻魔堂 大念仏狂言今年の演目は「いろは」と、鬼が登場する「鬼の念仏」でした。合わせて約40分ほどの演目で、堂内には度々笑いが起こり、険しいお顔の閻魔様もちょっとだけ笑っているような、そんな気さえ起こさせてくれました。狂言が終わると、豆まきが行われます。その年の年男・年女の方はお堂に上がって豆を撒くこともできます。閻魔様が鬼のような顔をしていることにちなみ、かけ声は「福はうち 鬼もうち」です。

千本閻魔堂 「閻魔様のお墨付き」そして閻魔堂で撒かれるのは、特製の黒い豆。「閻魔様のお墨付き」と名付けられたその豆は、一つ一つ白い紙にくるまれて撒かれます。通常の豆が墨による黒い練り物で包まれており、外側は割と柔らかいものです。節分の時には、歳の数だけ豆を食べて厄除けとする習わしがありますが、年齢を重ねるとなかなか大変。しかし、この黒い豆は、墨の力によって、一粒食べればその人の歳と同じ数の豆を食べたのに等しいご利益が頂けると「お墨付き」がついています。豆の包み紙には景品の当たりくじも付いているため競争率は高く、拾うのは結構大変ですが、私も何とか一つ手にすることができました。

千本閻魔堂 こんにゃく炊きまた、閻魔堂の節分では中風除け・諸病除けとして、体を温める作用がある「こんにゃく炊き」も振る舞われています(一皿400円、持ち帰りは500円)。嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれると言いますが、コンニャクには裏表がないため正直な生きざまを表し、閻魔様の好物とされています。面白いのはコンニャクの形が「舌」に似せてあるところ。また、「困厄(こんやく)」や「厄がこん(来ん)」という語呂合わせから、困り事や厄除けにご利益があるとして信仰されています。私も昼間に訪れて頂き、地元の方の温かいもてなしに心も温かくなりました。昼も夜も、節分の日は千本閻魔堂に訪れてみて頂ければと思います。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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