正伝寺 静かに眺める雪景色

正伝寺の雪景色
2月5日に、洛北の正伝寺雪化粧しました。

正伝寺の雪景色関東甲信の山沿いでたいへんな雪となりました。過去100年以上の観測史上で1位を超える場所も出て、100年・200年に1回レベルの大雪です。気象的な検証は報道等でなされていますが、今回は大雪のち雨(大雨)というシナリオが、結局最後まで雪で降ってしまいました。湿った重い雪だったために同じ積雪深でも重量があり、強度が弱い建物を中心に倒壊被害が出ています。

正伝寺の雪景色山梨県出身の気象会社時代の同期が、「山梨は大雪の時には県全体が孤立するんだ」と当時話していましたが、まさにそれが現実のものとなってしまいました。人的被害のみならず、ビニールハウスなどの農業や、林業などへの影響も相当なものになっているはずで、非常に辛いところです。微々たるものではありますが、災害史の散策の収益の一部は新たに発生してしまった災害に寄付したいと考えていますので、またご報告させて頂きます。

正伝寺の雪景色雪による災害が起きている中で、雪景色の美しさを書くのは心苦しいのですが、ご容赦頂ければと思います。2月5日に鷹峯の源光庵で丸窓の奥の風景を眺めた後、西賀茂の正伝寺へと向かいました。京都の中でも特に私が好きなお寺で、学生時代から幾度となく通っています。雪の日にも何度か訪れているのですが、改めて足を延ばしてみました。

正伝寺の雪景色この日は雪の量は少なかったものの、枯山水の庭園には程良く残っていて、期待通りの光景で迎えてくれました。ちょうど私と入れ違いで先客が出て行かれ、結局この日は貸切状態で気づけば40分程を過ごしていました。お庭は比叡山を借景としていますので、雲が切れて比叡山が見えるのを待っていたのですが、残念ながら出てくれませんでした。門を入る時には見えていただけに残念です。雪も時間とともに、どんどん融けて行きました。

正伝寺の雪景色正伝寺のよさは、何と言っても人工の音がほとんど聞こえないところです。私も京都のほとんどのお庭を眺めてきましたが、こうした場所は非常に希です。人の会話や車の音も聞こえません。聞こえてくるのはただ、木々のざわめき、鳥のさえずり、そしてこの日は雪が融けて水となり流れて行く音です。自然の音が作り出す空間に包まれた、誰もが憧れる「京都」を感じられるお寺です。何度訪れても素晴らしく、この先も永く後世に伝わっていってほしいと思います。

正伝寺の雪景色方丈そのものや襖絵も、歴史的・文化的に文句なしの1級品ですが、それを仰々しく掲げることがないところもまた魅力的で、京都にもあるようでない貴重な場所だと個人的には思っています。障子を開けて方丈の中からお庭を望めば、まるで絵画のように好みの風景を切り取ることができます。雪の日の庭園は水墨画のように、見事な風景を見せてくれました。室内からは座布団に座って外を眺めることもでき、都会の喧騒とは無縁の癒しの空間。四季折々に素晴らしいですので、機会があれば足を延ばしてみて下さい。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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