14日の京都の大雪。今回は東寺の五重塔などを覆う雪景色です。
泉涌寺から移動したのは世界遺産の東寺。東山から京都市街地へと直線距離で2.5kmほど場所を移っただけですが、雪の量は全く異なっていました。具体的には、泉涌寺付近で10cm近くあった積雪が、東寺では3cm程度にとどまっています。降るものも雪ではあるものの、より水気が多い印象でした。これは気温の差によるもので、明らかに都市化(ヒートアイランド)の影響でしょう。京都のアメダスを見ても特に冬の夜から朝の気温が下がらず、私の感覚では大津や枚方と比べても1.5℃ほど高くなっています。
私の手元のやや古い資料では、夏の京都の高温域の中心は「五条~九条、大宮から西大路の辺り」にあり、まさに九条大宮の北西にある東寺はその中心域に当たります。もちろん季節や条件によっても結果は異なると思いますが、京都の気象台がある西大路丸太町の辺りよりも東寺周辺の方が気温は高いのかもしれません。少なくともこの日は泉涌寺と東寺とで降水量に大きな差があるとは考えにくく、雪の量の違いから「都市化による高温」を目に見えて感じました。
さて、気温が高いとはいえ数cmは積もっていますので、東寺の雪景色も十分に楽しめました。東寺の五重塔は江戸時代の寛永21(1644)年に建てられた日本最大の高さを誇る五重塔で、各層の屋根の広がりがほぼ同じという特徴があります。そのため雪が積もるのも、最上層の屋根がメイン。間の層の屋根には先に少しだけ積もっているのみでした。以外と普段通りの「黒」が強かったです。
境内には大きな不二桜もそびえています。周りが整備中でしたが、少し離れたところから五重塔と一緒に撮る定番の構図はやはり見事。実はこの桜が植えられたのは平成18年の「2月26日」で、ちょうどこのブログを公開した直後の日付。偶然のめぐりあわせですね。実は2月26日は私の誕生日でもあり、不二桜には個人的な親しみを持っています(笑)この春もまた、非常に美しい花を咲かせてくれることでしょう。
国宝の御影堂も雪に包まれていました。普段は桧皮葺の屋根ですが、この日は白い雪に覆われていました。こちらは普段とはまったく違った雰囲気です。御影堂は大師堂とも呼ばれ、もとは弘法大師・空海の住まいでもありました。現在の建物は南北朝時代の再建ですが、今でも毎日朝6時からお膳とお茶を供える法要が欠かさず行われています。
最後に、東寺を望む定番の場所へと足を延ばしてみました。九条通に架かる歩道橋です。東寺の南門と五重塔、お堀を望める場所で、京都を代表する光景と言っても過言ではないでしょう。少し離れると塔の屋根に積もった雪がよく見えて、近くで見るよりも一層「冬らしさ」を感じました。雪もさほど多くはないため、屋根瓦が埋もれずに、ちゃんと「黒い線」が見えているところもよかったのではないでしょうか。雪は量によっても風景が変わるので、難しくもあり毎回楽しみでもあります。さて今回も、東寺の雪景色は写真と動画でお楽しみください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。