気象台の標本木も満開を迎え、各地で桜が見ごろを迎えています。桜の宮として知られる平野神社でもソメイヨシノが満開です。
平野神社は、もとは平城京の皇后(高野新笠:たかののにいがさ)の御殿にあった神社で、長岡京を経て平安京への遷都時にこの地に移されたとされています。高野新笠の子が、平安遷都を行った桓武天皇。つまり平野神社は朝廷にとって大切な神社で、源氏や平氏など諸氏の氏神としても信仰されました。平安時代の平野神社は今よりもはるかに広く、2km四方もあり、金閣寺の辺りまでが境内地だったといわれています。
神社は江戸時代から桜の名所として知られるようになり、特に夜桜が有名。現在も明るいライトアップではなく、昔ながらの優しい明かりで照らされた夜桜が見られます。毎年、近くの衣笠小学校の新四年生が描いた絵が灯籠にかぶせられて、桜に彩りを添えています。また、平野神社の桜は種類が多いことでも知られています。これは諸氏が自らの家に伝来の桜を奉納して家運隆盛を祈ったためといわれ、現在も境内には早咲きから遅咲きまで50種、400本の桜が植わっています。植物園も顔負けですね。
平野神社は、特にソメイヨシノが素晴らしく、空を覆い尽くす様子は圧巻です。今日はまだ早咲きのしだれ桜も咲いていて、本当に見事でした。桜の下には有料席も設けられていて、花見を楽しむことができます。花より団子の方もおられるかもしれませんが、それも花見の醍醐味の一つでしょう。
平野神社では、お箏や尺八などの和楽器や、フルート・ハープなど洋楽器の奉納が四季の行事で行われることがあります。桜時期は金曜日から日曜日にかけ奉納があり、見事な桜の下で聞く音色は、いっそうお花見の楽しい気持ちを盛り上げてくれますね。平野神社は遅咲きの桜も充実していて、まだまだ来週にかけて素晴らしい桜に出会えます。是非、訪れてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。