大原の桜が見ごろを迎えています。三千院を中心に大原は桜の里です。
京都市街地の桜は終わりつつありますが、まだ山沿いに行けば美しい桜に出会うことも可能です。大原は「桜の里」と呼んでもそん色がないほど桜が多く植わっています。もっとPRをすればと思うほど、見事な光景に各地で出会うことができます。大原の魅力は何と言ってもその長閑さ。京都市街地からほんの20分程で自然いっぱいの山里へと行くことができます。
大原のバス停の周りは桜が充実。本日(15日)の段階で、ソメイヨシノもまだ見頃でした。全体的には山桜の方が多いように感じます。木々の深い緑の中では、桜の白っぽい色はよく映えて、とても綺麗です。さらにあちらこちらに菜の花が植わっていて、黄色の色彩も鮮やかに彩りを加えています。まさに春爛漫という風情の中でのんびりと歩いて行くことができるでしょう。
桜でおススメなのは三千院。境内には約500本もの桜が植わり、さらに種類が多いのが特徴です。単一の種類がまとまって咲く光景も圧巻ですが、三千院ではすぐ隣の木の種類が違いますので、色合いや枝ぶりが様々に折り重なって他にはない綺麗さがあります。今年も梅が遅かったため、まだ梅の花も残り、梅と桜を同時に楽しむことができました。三千院の桜は、不動堂や観音堂の前が特に見事です。
寂光院の隣にある、建礼門院・徳子の陵墓へと続く参道入り口にも、見事なしだれ桜が咲いています。私が今年会いたかった桜の一つで、見事に咲いていてくれました。平徳子は、平清盛の娘で高倉天皇との間に安徳天皇をもうけ、平家の全盛時代を過ごした方です。しかし、清盛が亡くなると平家は都を追われて西国へと落ち伸び、やがて壇ノ浦で滅亡の時を迎えます。徳子も他の一族同様に壇ノ浦に身を投じますが、長い髪の毛が源氏方の熊手に引っ掛かり、助け出されたと伝わります。都に戻った徳子は出家をして建礼門院と呼ばれ、山里の寂光院で一族の菩提を弔いながら余生を過ごしました。
寂光院は、平家物語の最後、大原御幸の場面ともなります。建礼門院が過ごす山里の寂光院へ、後白河上皇がお忍びで訪ねてくるのです。その時、物語の中で「池水に 汀の桜散り敷きて 波の花こそ盛なりけれ」と詠まれた風情は、今でも寂光院で偲ぶことができます。寂光院の前には池があり、その脇に「汀の桜」が咲いているのです。遅咲きの桜で、今日(15日)の段階でまだ開花をしたばかり。見頃は今週末ころからとなりそうです。桜が包む大原。京都市街地とはまた違った、魅力ある桜が多い場所です。是非、ゆっくりと時間を取って足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。