知恩院では18日~25日にかけて、宗祖・法然上人がお亡くなりになられた日を期して行われる法要、御忌大会(ぎょきだいえ)が催されています。18日夜から19日朝にかけてはミッドナイト念仏が行われ、期間中は御忌の鐘も撞かれています。
御忌(ぎょき)は、知恩院で最も大きな法要で、全国の信者が大型バスで訪れて境内も賑わっています。近年は、三門の上で夜を徹してお念仏を唱え続ける「ミッドナイト念仏in御忌」が若者を中心に人気を集めています。出入りは自由で、普段は入れない三門の上に夜中に上がれるとあって年々人気が高まっています。今年も様子を見てきましたが、時刻は深夜の1時40分を過ぎているのに三門に入ろうとする長い行列が延び、お寺の方によると「入るのに1時間待ち」とのことでした。列に並んでいるのは、見た目95%が若者。どこまで信仰心があるかは疑問ですが、何はともあれ盛況ですから「イベント」としては成功なのでしょう。なお、信仰心を持ってお念仏を心行くまで唱えたい方は、昼間に法然上人の御廟を訪れて下さい。木魚が置かれており、自由に叩いてお念仏を唱えることができます。
さて、御忌の期間には知恩院を象徴する重さ70トンと言われる大梵鐘が撞かれる機会があります。知恩院の鐘といえば、除夜の鐘が圧倒的に有名ですが、実は除夜の鐘は昭和5年(1930年)から始まった行事。それまでは御忌法要で鳴らすのみだったそうです。ということで、歴史の深さではこちらの御忌の鐘も一見の価値があります。時刻は12時。打たれる直前まで、全く鐘を打つような雰囲気はありません。大晦日や12月27日の試し撞きの時には大変な数の人々が押し寄せて、その混雑ぶりは大都会の満員電車と全く変わらないほどですが、御忌の鐘はご存じの方が少ないのか、私のように待っている方は誰一人見かけることはありません。
大晦日やその試し撞きでは、僧侶17人で手綱を持つ壮観な光景の中で打たれますが、御忌の鐘はお寺の関係者3名のみで撞かれます。あくまで御忌の行事の一環として、淡々と行われているものなのでしょう。撞木(しゅもく:鐘を打つ木)の重さは約400kgにもなるといわれますが、普通に打つ分には17人もの人数は必要ないようですね。大晦日に鐘を打つ人数も時代によって少し変わっており、古い文献では15名となっているものもあります。
御忌の鐘は3名で撞く分、声は小さいものの「えーい ひとーつ そーれ」の掛け声は除夜の鐘と同じです。お念仏が唱えられる中で打たれる除夜の鐘の独特な雰囲気とは違うものの、変わらないのは打たれた時の大きな音。17人がかりの時と比べても何らそん色はないと感じます。過去のブログで、12月27日の試し撞きや、大晦日の除夜の鐘も動画がありますので、聞き比べてみても面白いでしょう。今回は、2年前に撮影していた御忌の鐘の動画も掲載しておきます。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。