三千院の石楠花と寂光院の汀の桜

三千院の石楠花
大原にある三千院の石楠花(しゃくなげ)が見ごろを迎えています。また、寂光院では汀の桜が名残の花を咲かせていました

三千院の石楠花先日(27日)、仕事の合間を縫って大原へと足を延ばしてきました。三千院の石楠花はまさに今が見頃で、新緑や苔の美しい緑や木漏れ日の中で非常に美し光景を見せてくれました。晩春の京都でもおススメの場所の一つです。大原ではまだ八重桜が残り、京都市街地よりは一週間ほど進みが遅い印象です。大原はのどかな風景が魅力で、春の時期は黄色い菜の花も目にすることができます。

三千院の石楠花三千院は四季折々にたいへん美しいお寺です。春は桜や石楠花、梅雨時には紫陽花や苔が綺麗で、秋には紅葉、冬には雪景色と、それぞれの時期に京都でも一級品の光景を見せてくれます。市街地から離れている分、私もしょっちゅう訪れることができませんので、毎回ワクワクしながら中に入っていくお寺でもあります。

三千院の石楠花この時期は境内の石楠花が本当に見事。客殿の南に広がる聚碧園(しゅうへきえん)では縁側に座って眺めることができ人気です。また、宸殿南側の有清園でも苔や新緑の緑の中で、優しい色合いの花を咲かせています。石楠花はこうして緑の中で咲く姿がよく似合っていると思います。さらに金色不動堂の辺りにも咲いて、まさに境内のいたるところでその花を目にすることができます。

三千院の石楠花石楠花は丸く咲いた様子が印象的ですが、その花をよく見るとツツジのような花が集まって丸い形となっています。実は石楠花はツツジの仲間で、よく似ているのも頷けます。個々の花の見頃の期間は比較的短いので、お早めに三千院を訪れてみて下さい。

寂光院 汀の桜一方、寂光院では本堂前の池のほとりに咲く「汀(みぎわ)の桜」が咲いていました。27日の段階で風が吹くと花が散っていましたので、28日以降の雨で散り果ててしまいそうです。寂光院といえば、平家滅亡後に平清盛の娘である建礼門院・徳子が隠れ住んだことが有名ですが、平家物語の最後では建礼門院を訪ねて後白河法皇がやってくる場面が描かれています。

寂光院 汀の桜法皇が訪れたのは、青葉の頃でした。都から遠く離れた寂光院は寂しい山里の寺で、庭には若草が茂り、柳が葉をからませ、池の岸辺には山吹が咲き乱れて、ホトトギスが鳴いていたといいます。そして法皇が目にしたのが「青葉が交じった遅桜」です。法皇は「池水に 汀の桜散り敷きて 波の花こそ盛なりけれ」と和歌を詠み、しみじみとその風景を眺めたと伝わります。

寂光院 汀の桜今でも境内の池には「汀の桜」が咲き、当時の風情を偲ばせてくれます。この日の汀の桜は、まさに「青葉が交じった遅桜」で、散った花びらが池を飾り、私個人としては感動的な光景でした。残念ながら多くの方はこのエピソードをご存じないようで、桜に目を向けている人がほとんどいなかったのが残念です。平家物語を愛する方には、是非ご覧になって頂きたい桜です。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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