今年の梅雨のキーワードは「遅くて、多い」か

9月 大雨で増水した鴨川
気象庁から1か月予報と3か月予報が相次いで発表されました。今年の梅雨の傾向を解説します。

雨で煙る鞍馬の山そろそろ梅雨入りが気になる頃。3年前の2011年は記録的に早い梅雨入りで、5月22日に梅雨入りを「させて」いました。梅雨は人間が決める季節の境目で、純気象学的に判断するのは難しいものです。その情報にいかほどの価値があるのかについては、過去にもブログで書いてきました。梅雨入り発表の価値の一つは、「大雨被害が発生しやすい期間に入った」と世に周知させることにあります。その意味では、梅雨入り宣言をもっと防災へ供えをする時期という視点で受け取ってもらえたらと考えています。

嵐山木曜日(22日)に発表された1か月予報では、近畿の梅雨入りの平年日である6月7日(頃)~20日の見解に「低気圧や前線の影響を受けにくい」と明記されています。1か月の降水量も平年並と少ないの確率がいずれも40%で、降水量が少なくなる傾向が示唆されています。すなわち「今年の梅雨入りは平年(6月7日)より遅くなる」可能性が高いと気象台は見ているということです。とすると、もし6月7日より前に「梅雨入りさせてもよいし、させなくてもよい」という気圧配置及び予測が現れた時に、「梅雨入りさせない」という心理的バイアスがかかるのではと思います。梅雨入りも梅雨明けも、人間の心理や過去の記録に影響されるものだと私は思います。

2012年 梅雨明けの京都にて一方、本日(23日)発表の3か月予報では、7月の降水量につき、平年並と多いの確率がそれぞれ40%であることが注目ポイントでしょう。平年より少ない可能性は20%しかありません。これは、太平洋高気圧の北上が遅れ、その分「梅雨明けも遅れる」ことを示唆しています。近畿の梅雨明けの平年日は7月21日(頃)ですので、そこから遅れれば、7月全体としては「降水量が平年より多くなる」可能性が高いということです。

激しく増水した桂川また、専門向けの気象庁の解説資料によると、7月は南海上の太平洋高気圧そのものは強いと見込まれています。とすると、南の高気圧の縁を回るように湿った空気が梅雨前線に供給されやすくなるため、梅雨末期は豪雨災害への警戒が例年以上に必要だといえます。「降水量が平年より多い」という予想の裏には前線活動が活発という理由もありそうです。他地域は詳しく見ていませんが、少なくとも近畿地方については、梅雨開けが遅く、さらに降水量も多くなりそうな今年の梅雨。この傾向は、エルニーニョ現象発生時の過去の天気傾向とも一致しています。もちろん、長期予報は「確率論」ですので、ふたを開ければ違った結果になることもありますが、最新情報に耳を傾けながら、いざという時のシュミレーションをしておくことが大切です。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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