京都の夏越祓 2014年

北野天満宮 大茅の輪
6月30日は半年間の罪や穢れを払う夏越祓(なごしはらい)の日で、京都では各地の神社で茅の輪くぐりなどの行事が行われました。

八幡山7月に入り、京都は祇園祭が始まりました。1日には「長刀鉾町お千度」が行われて今年のお稚児さんがお目見え。取材に行ってきましたので、近日中にご紹介予定です。また本日(2日)は、山鉾巡行の巡行順を決める「くじ取り式」があり、17日の先祭(さきまつり)の山一番は占出山、24日の後祭(あとまつり)の山一番は、私の町内の八幡山が引き当てました!先祭は郭巨山の3連続なるかが注目でしたが、さすがに難しかったようです。くじは全ての山鉾が引くのではなく、9基のくじ取らずがあります。また、巡行の見た目やお囃子の重なりを考えて、大型の鉾や傘鉾は分散されて巡行するように配置されるため、完全にランダムで順番が決まっているわけではありません。先祭の山一番を引く確率は13分の1、後祭は6分の1です。いよいよ今年も盛り上がってきました。

北野天満宮 大茅の輪さて、京都では6月30日に半年間の罪や穢れを払う夏越祓が行われ、各地の神社に茅の輪が登場しました。人がくぐるもので京都最大の大きさとされるのが北野天満宮の直径約5mの大茅の輪。24日夕方に楼門に掲げられる様子を見に行ってきました。6月25日は北野天満宮のご祭神・菅原道真の生誕日にあたるため(御誕辰祭があります)、例年人で賑わう25日を前に大茅の輪が設置されるのです。

北野天満宮 大茅の輪大茅の輪は、竹を芯にして茅が巻かれ、神職さんの手によって丁寧に作られています。準備が整った夕刻に神職10人以上で楼門へと運び、ロープで引き上げられて設置されます。やはり相当の重さがあるようで、太い針金で結びつけられるまで引き上げ続ける場面は大変そうでした。こうして1時間ほどかけて設置された大茅の輪は、翌25日5時の開門と同時にくぐることができます。ただ、北野天満宮の大茅の輪は茅が抜かれて行くのが恒例で(他所では抜き取るのは厳禁)、例年9時頃には横の部分が無くなり、昼頃には竹の骨組みだけとなります。本殿前には別に小ぶりな茅の輪もありますので、大茅の輪をくぐれなかった方も安心です。

野宮神社 茅の輪茅の輪をくぐることで、半年間の間に知らず知らずの間に身についてしまった罪や穢れが払われて、残りの半年間を無事に過ごせるとされています。かつては夏は疫病が流行る季節で多くの方が命を落としました。「夏を越える」ということは大変なことで、夏を前にした今の時期に「夏越祓」が行われ、厄除けを願う祭りである祇園祭も行われるのです。夏越祓は庶民の行事でもあり、大小問わず京都各地の神社で茅の輪くぐりが行われます。観光客で賑わう嵐山の野宮神社にも茅の輪が登場していました。

伏見稲荷大社 茅の輪30日は伏見稲荷大社の大祓式に参列してきました。神事は粛々と進められますが、参列者一人一人にも切幣(きりぬさ)が入った包み紙が配られ、自分でお祓いをすることができます。多くの方が訪れる神社ですが、祓を大切にする神社の姿勢がうかがえます。神事に続いて茅の輪くぐりも行われ、多くの参拝者がくぐって行きました。

上賀茂神社 茅の輪6月30日の夜には上賀茂神社で「人形(ひとがた)流し」が行われました。茅の輪と並んで夏越祓に欠かせないのが「人形(ひとがた)」です。人の形をした紙に、氏名と年齢を書いて体を撫でて息を吹きかけることで厄を人形に移します。そして神社に納めると、中臣大祓(大祓詞)が奏上される中、神職の手によって人形が御手洗川に流されていきます。神事には多くの方が集まっていました。

上賀茂神社 人形流し上賀茂神社の夏越大祓は、百人一首に詠まれている情景が有名です。「風そよぐ ならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける(藤原家隆)」。辺りが暗くなり、かがり火が焚かれる中で行われる人形流しは、川に映る炎の灯りが幻想的で、多くの人形(ひとがた)が流れて行く様は非日常の光景でもありました。行事の様子は動画もありますのでご覧になってみてください。


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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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