今年はサルスベリ(百日紅)の開花が例年よりも遅く、まだ各地で見ごろが続いています。京都御苑の中には立派なサルスベリの木が点在をしていて、目を楽しませてくれます。多いのは、御苑南西の拾翠亭(しゅうすいてい)の周り。毎週、金曜日・土曜日に限って一般公開される一流公家の茶室から眺めるサルスベリの光景は、京都の夏を代表する光景の一つだと思います。
サルスベリは中国南部原産の木で、江戸時代のはじめに日本に入ってきたとされる植物。中国では宮廷に植えられた花木でもあります。御所の正門で天皇だけが通ることができる建礼門をバックにした風景には、まさにサルスベリがふさわしいのかもしれません。また、御苑の南東にある寺町御門の前にも美しいサルスベリが咲いていて目を引きます。こうして歴史的な建築にもよく似合う花だと思います。
さて、一方で秋の花も着々と進んでいて、萩の花も咲き始めてきました。8月の天候不順で影響を心配していましたが、萩には大きな影響はないようです。御苑の東にある梨木神社は萩の名所で、元境内の南側でマンションの建築は行われているものの、まだまだ美しい萩は数多く広がっています。また、出町柳にある常林寺もだんだんと花が増えてきました。梨木神社とともに、今月中旬には見事に入って来るかもしれません。季節は少しづつ本格的な秋へと移ろって行きます。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。