湯立神楽は、大釜の湯を笹で散らすことで、邪気を払い、無病息災を祈願する行事です。現在使われている大釜は、文政6年(1823年)の銘を持ち、さらに保管されている別の釜には元禄4年(1691年)の銘があるそうです。大釜には城南宮の神紋である日月星(三光の紋)が描かれているのが印象的。少なくとも江戸時代から神紋が変わっていないこともわかります。
神事の後、巫女さん4名により祓神楽(はらいかぐら)が奉納されました。笛や太鼓の日本らしいお神楽です。最初は扇を持つ「扇の舞」、次に鈴をもって「鈴の舞」を、どちらも美しく優雅に舞います。お神楽の様子は動画もありますのでご覧ください。神楽の後、巫女さんの鈴で参列者を清めていただけました。
続いて、たすきをかけた巫女さんにより、いよいよ湯立てが始まります。薪で焚かれた釜の湯は煮えたぎっていて、湯気がモクモクと上がっています。ここから先は、まるで料理を作っているかのよう。まず、礼をした後に大釜を塩で清めます。続いて柄杓(ひしゃく)で天の水をすくって大釜に注ぐ所作をし(杓取の儀)、次に洗米とお神酒を入れていきます。そして御幣の柄の部分で大釜の湯をかき混ぜ、舞を舞います。最後に両手に持った笹の葉でかき混ぜて完成(?)です。
いよいよ湯立神楽のクライマックス、笹の舞!勢いよく大釜に入れた笹の葉を取りだしては大きく振り上げ、熱湯を飛ばして邪気を払います。この時の湯気が綺麗な円を描くとよいのだとか。巫女さんが笹を勢いよく釜に入れて振りかざすと、見事な蒸気の円が出来ました!!お囃子も軽快になって盛り上がります。それにしても、巫女さんはものすごく熱そうですが、それを全く感じさせません。散らしている湯は意外と飛びませんので、参列者席の一番前で見ていても危険を感じることはないでしょう。
ひとしきり湯を飛ばすと、再度釜に笹を浸し、今度は参列者にも近づいて湯を散らして頂けます。この湯をかぶると無病息災になれ、願望も叶うのだとか。今年も多くの参列者が来られて、そのご利益をいただいていました。最後に巫女さんは、神事が終わると授与される福笹にも湯をかけて清めました。この福笹は有料(1000円)で数に限りがあるため、多くの方がすぐに列を作って求めて行かれました。先程舞を舞った巫女さんから直接手渡して頂けます。また、儀式の後に大釜の周りには参拝者が集まって、湯気を浴びておられるのも印象的。湯立神楽は城南宮に限らず、各地の神事で目にする機会がありますので、機会があればご覧になってみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。
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