2月3日の夜に藤森神社の節分祭を見に行ってきました。今回は雅楽・舞楽をご紹介します。
藤森神社の節分祭は、仕事を持たれている氏子さんや子どもさんも参加しやすいようにか、夜に行われています。鬼を追い払う追儺式(ついなしき)は、照明や音響が本格的な、まるでショーのような行事で、豪華景品が当たることもある豆まきとあわせて地元では絶大な人気を誇っています。追儺式の様子は次回にご紹介しますが、今回は先立って奉納された雅楽と舞楽をご紹介します。
藤森神社には雅楽会(鳴鳳雅楽会)があり、舞楽も行っています。雅楽会は80年以上の歴史を持ち、さらには嵐山紅葉祭や貴船神社の七夕祭りなどにも出張をされるそう。日頃から練習をされているとあり、美しい音色や舞を見せていただけます。まずは雅楽のみの奉納が行われました。私が聞いたのは、神事でもおなじみの「越天楽(えてんらく)」。厳かな雰囲気に包まれます。
次に舞楽へと変わり、まずは子どもたちによる演目、迦陵頻(かりょうびん)が奉納されました。迦陵頻は「迦陵頻伽(かりょうびんが)」の略で、インドの神話に登場する美しい声で鳴く鳥のこと。仏教では、極楽浄土で法を説く鳥とされ、人の頭に鳥の体をもつ姿であらわされます。舞楽では「胡蝶(こちょう)」とともに童舞(わらべまい)として有名で、目にする機会も多い演目です。実際の舞では、女の子が頭には花を挿した天冠をかぶり、背には美しい鳥の羽をつけて、銅拍子(どびょうし)を両手に持って優雅な雅楽の調べに合わせて打ち鳴らしながら舞っていきます。
続いて、大人の舞人によって、蘭陵王(らんりょうおう)が奉納されました。蘭陵王は、美しい声と美しい顔を持った王でしたが、兵たちがその姿を見惚れて士気が上がらなかったため、顔を隠すために獰猛な表情の面を付けて戦に挑んだという故事に由来する舞です。こちらも定番の演目のひとつで、武人らしい勇壮さの中に、美貌を隠し持った蘭陵王を偲ばせる優雅さを併せ持つ舞として人気があります。
最後に奉納されたのが、納曽利(なそり)です。別名を「双龍舞(そうりゅうのまい)」ともいい、二匹の龍が戯れ遊んでいる様子を舞にしたもの。蘭陵王に対応する舞で、本来は二人で舞うそうですが、ここでは一人で舞われました(一人舞の時は「落蹲(らくそん)」と呼ぶそう)。こちらも暗がりの中で美しい舞を披露していただけました。舞の様子は動画もありますのでご覧になってみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。