「京都の桜の最後」といえば、真っ先に仁和寺が思い浮かぶ方もおられるかもしれません。いよいよ見頃となり、週末が花も人でもピークとなりそうです。御室桜は、仁和寺境内にある桜の総称で、特定の種類ではありませんが、境内の中門を入って左側に広がる桜苑は「御室有明」という特殊な種類で埋まり、この桜が一般的には御室桜と呼ばれています。この御室有明は、背が高くならないのが特徴。桜の下に粘土質の土壌があり土中に酸素や栄養分が少なく、桜が根をのばせない要因の一つにはなっているそうです。
仁和寺の桜は、江戸時代から吉野の桜に優るとも劣らないと人気を博し「わたしゃお多福 御室の桜 はなが低くても 人が好く」と歌われました。「はな(花・鼻)」が掛け言葉になっています。満開の桜は、まさに桜の雲海と呼ぶにふさわしく、その雲の中を泳ぐように散策し、ひょっこりと顔を出す五重塔を探すのが楽しみの一つ。分かりやすい場所には自然と人だかりができますが、腕のあるカメラマンは「なるほど」という場所から撮っていきます。自身のセンスに合う場所を探して歩くのも面白いでしょう。
写真という意味では、光の当たり具合からして午後の方がおススメではあります。ただ、人出は非常に多くなるので悩ましいところですね。いずれにしても、満開時の御室桜は大変美しい写真をあちらこちらで撮ることができ、たくさんの人の笑顔にも出会えますので、人の多さには目をつむって、是非満開の間に足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。