大覚寺で10日~12日に嵯峨天皇奉献華道祭が行われ、12日午前中には舞楽の奉納もありました。
大覚寺はいけばなの嵯峨御流(さがごりゅう)ゆかりの寺として知られ、毎年春に華道祭が行われています。嵯峨御流は、嵯峨天皇が大沢池にある菊が島の菊を手折り、殿上の花瓶に挿されたのが始まりとされており、嵯峨天皇の離宮が死後に寺に改められたのが大覚寺です。華道祭では、大覚寺の建物内に生け花が展示されてより一層華やかになります。今年は大沢池のソメイヨシノは散り果てましたが、勅使門前の紅しだれ桜は満開で花を添えていました。
12日の10時半から行われたのが「心経前殿献華法会」です。御影堂ともよばれる心経前殿(しんぎょうぜんでん)の前に生け花がささげられて、般若心経が読まれたり、舞楽の奉納が行われます。一般の見学は心経前殿の正面では行うことができず、宸殿や五大堂、その周りの回廊等から見ることになります。さて、時間になると式台玄関の前に献花を手にした白装束の方々がずらりと並び、お坊さんによって諸注意が述べられたあと出発していきました。境内の南には華供養塔があり、まずここで献花が行われます。そして再び列は進み、勅使門から心経前殿前まで入って行きました。心経前殿へ花を献じる儀式が続いたあと、実際に花を生けるいけばなの儀式も奉納されました。
そしていよいよ舞楽の奉納です。演目は蘭陵王(らんりょうおう)で、勅使門からゆっくりと舞人が入って来る様子や、広い舞台で舞う様子などは、往時の雅さを感じさせてくれました。角度によっては桜と一緒に眺めることもできてより華やかでした。舞が終わると、参列者一同で般若心経が唱えられて行事が終了となりました。なお、心経前殿の後ろには嵯峨天皇をはじめ歴代天皇が国の平安を願って書写した写経が納められた勅封心経殿があります。その60年に1回の開封は3年後に迫っており、大いに話題となるでしょう。大覚寺を拝観される際には注目をしてみてください。
また華道祭では大沢池に龍頭(りゅうとう)船・鷁首(げきしゅ)船が出て、船の上でのお茶席を楽しむことができます(1200円)。大沢池で船に乗る時ができるのは、秋の中秋の名月の頃と、春の華道祭の時だけです。中秋の名月は大混雑ですが、春の華道祭は空いていて、待ち時間もほとんどなく船に乗れ、優雅な時間を過ごすことができるのでおススメです。今年は散ってしまいましたが、年によってはソメイヨシノも美しい時期。ぜひ船も含めてお時間に余裕を持って訪れてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。