新緑の永観堂と椎の木

永観堂の緑
先日、まいまい京都さんのご案内で永観堂を訪れてきました。美しい新緑が境内を包んでいます。

永観堂の緑永観堂は新緑の時期にも大変おすすめな場所。緑の時期は人が圧倒的に少なく、ゆったりと見返り阿弥陀像に参拝をすることができ、エメラルドグリーンの緑に包まれる境内をゆっくりと散策することができます。約3000本ものカエデが彩る紅葉の秋は、寺宝展があるために拝観料は1000円ですが、今の時期は600円です。

永観堂の緑山沿いを見れば、多宝塔の周りなどに椎(しい)の木の花や若葉が作り出す黄色の色彩も目立ちます。椎の木は京都の山沿いでアカマツの減少に伴って自然に増えてきた樹木で、この数十年で急激に拡大しているそう。急な植生の変化は問題にもなっています。また、山の近くではその独特の香りも気になるかもしれません。

永観堂の緑永観堂で椎の木といえば与謝野晶子のこの歌を思い出します。「秋を三人(みたり) 椎の実なげし 鯉やいづこ 池の朝かぜ 手と手つめたき」。晶子がまだ結婚前で鳳晶子だった頃、のちの夫になる鉄幹と、恋と歌のライバルでもあった山川登美子の3人で訪れた紅葉の永観堂。鉄幹は身重の妻との離婚話を二人に告げ、登美子は親が決めた結婚のため実家の若狭に帰らねばならないと語りました。それぞれの人生が動きはじめた永観堂の秋。翌年の1月、晶子と鉄幹は今度は2人でに再び永観堂に訪れ、先ほどの歌を詠んだそう。「鯉」と「恋」がかけられていて、自分の意思を押し込めて去って行った登美子を思う晶子の気持ちが込められています。

蹴上浄水場の歌碑秋に3人で泊まったのが、粟田口にあった旅館の「辻野」でした。2か月後にも鉄幹と晶子の2人で同じ「辻野」に泊まり、その時に晶子が詠んだのが「御目ざめの 鐘は知恩院 聖護院 いでて見たまえ 紫の水」の歌。刻まれた歌碑は辻野跡の蹴上浄水場内にあり、先日の公開で目にした方もいることでしょう。京都検定で覚えた方もいるかもしれません。晶子はこの年の秋、前妻と別れた鉄幹と結婚しました。と、いつの間にか与謝野晶子の話になってしまいました。明子と鉄幹と登美子の関係はまだ続きがあるので、興味のある方は調べてみてください。さて、椎の木が目立つ東山は晶子の見た時代とは植生が違っているようです。新緑にも無常を感じる京都ですが、いずれにせよ永観堂の新緑は見事。ぜひゆっくりと時を過ごしてみてください。

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