六道珍皇寺の六道まいり

六道珍皇寺 迎え鐘
10日まで六道珍皇寺で六道まいりが行われ、先祖を迎える迎え鐘の音が響いています。

売られている高野槙京都もお盆の行事が始まっています。お盆は先祖のお精霊を迎える時期で、迎え鐘を撞いて霊を呼びます。六道珍皇寺の入口では高野槙(こうやまき)が売られ、この高野槙に精霊は宿って自宅に帰るとされます。高野槙は古墳時代前期の木棺としてもよく使われ、後にヒノキにとって代わられるものの、古くからこの世とあの世を繋ぐ木として信じられていたのかもしれません。六道珍皇寺では小野篁が閻魔庁へと行く際に使ったとされる井戸の脇にも高野槇があり、篁はその枝をつたって井戸に入ったとされます。なお、お精霊迎えの風習は宗派によって異なります。

六道珍皇寺 迎え鐘さて、六道珍皇寺の迎え鐘は、ひとりでに鳴る(はずだった)鐘として知られます。六道珍皇寺(愛宕寺)を創建した慶俊というお坊さんが、中国へ行く前に鐘を土に埋め、弟子たちに「この鐘は不思議な鐘で、3年間土中に埋めておけば六時(むつどき)になればひとりでに鳴る鐘になる」と告げて旅立って行きました。

六道珍皇寺 境内そこから1年半ほど経て、中国にいる慶俊のもとに不意に鐘の音が聞こえてきました。その音はまさしく、出発前に土に埋めたはずの鐘の音色。弟子たちは3年待てずに掘り出してしまったのです。こうしてひとりでに鳴る鐘とはならなかったのですが、中国まで聞こえる鐘ならば、きっと「あの世」にまで聞こえるはずということで、お精霊迎えの「迎え鐘」となりました。ただ、残念ながらその元祖の迎え鐘は明治の初めに盗まれていて、現在の鐘は明治の終わりに再建されたものです。鐘の下には甕が埋められており、音がよく響くように作られています。

六道珍皇寺 迎え鐘六道珍皇寺の境内はいつもとは全く違った空間になっていて、まさにこの世とあの世を繋ぐ場所にふさわしい雰囲気です。あの世を行き来した小野篁の大きな像や、閻魔像も大きく扉を開けて公開されますし、最澄作とされる端正なお顔の薬師如来座像(重要文化財・旧本尊)も直接拝むことが出来ます。地獄絵の公開もあって、まさに非日常の空間。お精霊迎えではなくとも、一見の価値がある期間です。行事は10日まで行われています。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。

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