愛宕神社の千日詣り 夕御饌祭

愛宕神社 千日詣り 夕御饌祭
火除けの御利益で京都では篤い信仰を集める愛宕神社。7月31日夜から8月1日朝にかけては、参拝すれば千日分の御利益を授かれるとされる千日詣りが行われました。

愛宕神社 千日詣り愛宕神社は京都の北西にそびえる山。その標高924mの山頂に愛宕神社は鎮座しています。京都のお店ではよく「阿多古祀符火廼要慎(あたごしふひのようじん)」 と書かれた愛宕神社のお札を見かけ、火除けの御利益で知られる神社です。山頂への道はふもとの清滝からおよそ2時間、往復5時間ほどは要する初心者にはなかなか険しい山。千日詣り(千日通夜祭)が行われるのは夜で、山の天気も変わりやすく、それなりの装備が必要。決して甘く見て登らない方がよいでしょう。また千日詣りの日に限らず、3歳までに愛宕神社に参拝をすると一生火難に合わないとされ、この日も幼子を連れたりおぶった親子連れを何組もお見かけしました。

愛宕神社 千日詣り余談ですが、愛宕山は京都に雷雲をもたらす「丹波太郎」がよくやってくる方向にあります。雷は火を呼び、京都でも歴史上、幾多の高層建築物が落雷によって焼失しています。つまり愛宕山は気象的に見ても、雷が生まれてくる方向にある山です。千日詣りはかつては旧暦の6月24日に行われていました。もともと毎月24日が愛宕さんの縁日で、旧暦6月24日は、今の暦で7月後半から8月前半に当たり、梅雨明け後にはじめて迎える縁日です。真夏はまさに夕立をもたらす「丹波太郎」の頻度が増える頃。愛宕信仰にはいろいろな歴史があるにせよ、気象的に見ても面白い裏付けだと思います。

愛宕神社 千日詣りこの日は清滝へのトンネルは車両のみしか通れなくなり、清滝の駐車場がいっぱいになると基本的にはバスしか通行できなくなります。徒歩で向かう方は試峠を越えていく必要がありますのでご注意ください。現代も千日詣りは数万の人を集めるほど賑わっています。これは信仰の力もさることながら、若者の力も大きく寄与しています。清滝へと向かうバスも多くの若者であふれていました。

愛宕山からの満月どうやら徹夜での登山が大学の体力系サークルの伝統行事になっているようで、サークル総出で挑戦する元気のよい方々にも出会いました。また山ガールと呼ばれる若い女性だけのグループもたくさんいらっしゃいました。この日は天気は安定して雨やガスの心配はなく、空気も比較的乾燥、足元も乾いて良好と、絶好の登山日和。例年、天気が急変することもありますので、雨に対する装備があった方がよい年もあります。

愛宕神社 千日詣り 夕御饌祭ただ、今年はたいへん暑かったです。7月31日の最高気温は36.5℃に達する猛暑日。夕方からの登山とはいえ、肌着を絞れるくらい大量の汗をかきました。1リットルのスポーツドリンクでも全然足りません。山頂では飲み物の販売はありますが、道中には一切ないため、十分な水分や塩分を持参して登ってください。

愛宕神社 千日詣り 夕御饌祭今年は21時からの夕御饌祭(ゆうみけさい)に間に合うように登りました。愛宕神社の山頂の階段の途中に護摩壇が設けられて、山伏によって護摩供養が行われます。夜の山に法螺貝の音が響く様子が印象的。まず本殿で神事が行われ、続いて場所を護摩壇のある場所に移して行われます。護摩供の場面を見たい方は最初からその場所で待機しているほうがよいでしょう。山伏が集まると多くの見学者も集まってきます。ひとしきりの儀式のあと、暗がりの中で炎が上がる様子は、火をつかさどる神社にふさわしいでしょうか。愛宕神社はかつては白雲寺というお寺。天狗の太郎坊が住んだといわれるような修験の山でもあります。こうした行事も歴史を感じさせてくれます。

愛宕神社 千日詣り 夕御饌祭
愛宕神社 千日詣り 夕御饌祭

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。

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