8月16日に行われた五山の送り火。今年は「左大文字」を見に行ってきました。
お盆の締めくくりに行われる五山の送り火。正確には観光行事ではなく、お盆に帰って来たご先祖様の霊、お精霊(しょらい)さんが迷わず冥界へと戻れるように夜空に灯す祈りの炎です。発祥は3つの説があって定かではなく、庶民の信仰心から生まれ、長年受け継がれてきた行事。今年は「左大文字」を見てきました。
あまり知られていませんが、左大文字には松明行列があり、炎を灯す地元の町内の家々の門前にはかがり火が焚かれ、人々が手に手に松明を持って出発をしていきます。今回はこの場面をぜひ見たいと思い左大文字へとやってきました。19時過ぎ、法音寺に集まった地元の方がまず聖火のように手に松明を持ち、小走りで各家々の前のかがり火に炎を灯していきます。お寺の周りには多くの地元の方が集まってその様子を見守ります。
最後にお寺の前のかがり火が灯され、その流れで松明行列が出発していきます。お寺の門から次々に松明を持った人たちが出てくる様子は、さながら鞍馬の火祭のよう。辺りは火の海のようです。中には抱えて持つ大きな松明もあり迫力がありました。地元の方々は西大路通を渡り、金閣寺の前を過ぎて左大文字のある大北山へと登って行きます。
しばらくして、ふもとから左大文字の方を見上げると、点のように松明の火が登っていく様子が見えます。点火は20時15分。地元の皆様は早めに登って一旦松明を消して待機しています。点火の時間が近づくと、再び松明が灯り、「大」の文字に並んでいきます。そして時間になると一斉に点火が始まるのです。「左大文字は大の書き順で灯る」などと言われますが、すでに火を持った人が火床の前に立っているため、よく見ていないと書き順につけている様子はわからないでしょう。
やがて火の勢いが強まって、地元の方が手を合わせてご先祖様を思っていました。観光客も多く見守る送り火ですが、地元の方が守り伝えている大事な風習。私も静かに手を合わせてきました。点火の場面は動画でもご覧ください。左大文字は近くからは見られる場所が限られています。金閣寺の付近は交通規制がかかり、歩行者も道路で止まって見ることができません。西大路通と北大路通がつながるカトリック衣笠教会の辺りが最も見やすいでしょう。混雑しますので、早めに行かれることをお勧めします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。