1月8日から14日にかけて、真言宗最高の儀式とされる後七日御修法(ごしちにちみしほ)が東寺で行われました。
後七日御修法は、真言宗最高の儀式とされ、国家安泰、世界平和などを願う法要です。その歴史は古く、平安時代の承和元年(834年)に、東寺を賜った弘法大師・空海が、中国の高僧(不空三蔵:密教を唐に定着させた人物)が皇帝のために始めたのに倣って、宮中の真言院で営んだのが始まりです。もともと宮中の重要な正月行事として修され、元日から7日は神道形式、8日から14日が仏教形式なので後七日と呼ばれています。
空海以後、宮中の年初に欠かせない行事となっていましたが、南北朝の動乱や明治の廃仏毀釈で中断された時期を経て、明治16年に道場を東寺・灌頂院(かんじょういん)に移して再興されました。空海は、初めて後七日御修法を行った直後の承和2年(835年)に亡くなっており、病を得ながらも、最後に真言宗の基盤を固める意味があったのかもしれません。現在は、真言宗最高の儀式とされ、真言宗各派十八本山から管長・山主が集まり、文字通り宗派を結集して行われます。
初日の8日には、皇室から天皇の御衣があずけられ、唐櫃に納められると、僧侶によってゆっくりと灌頂院に運ばれていきます。その後、12時から各派の管長・山主ら高僧が、赤い傘を差されてゆっくりと灌頂院に入っていきます。この時は、信者の方、あるいは東寺の保育園の園児たちが並び、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱えて見送ります。灌頂院に一行が入ると、扉が閉められお勤めが始まっていきます。
修法は朝・昼・晩と、7日間で21座行われ、灌頂院道場には堂内西側に金剛界曼荼羅 東側に胎蔵界曼荼羅を安置して、それを一年交代で本尊として修法します。2016年は、金剛界曼荼羅を本尊として、勧修寺流で行われました。7日間の修法を経て、14日には結願日を迎え、この日に限り12時30分から13時30分の1時間だけ、灌頂院内部が一般にも公開されます。1年でたった1時間の貴重な機会です。今年は「京の冬の旅」でも公開はありますが、まさに今日まで修法が行われていたそのままの様子を間近で見ることができるのはやはり特別。来年以降、ご予定が合いましたら訪れてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。