正伝寺 借景を維持する光景

正伝寺
先日、西賀茂の正伝寺を訪れると、借景庭園にクレーンが見えていました。

正伝寺正伝寺は私が好きなお寺のひとつ。門前から木々に囲まれた長い参道を登ると本堂があり、比叡山を借景にした美しい枯山水庭園が眼前に広がります。正伝寺のよさは、何と言っても人工の音がほとんど聞こえないところです。私も京都のほとんどのお庭を眺めてきましたが、こうした場所は非常に希です。他に誰もいない貸切状態になることもあり、そうなれば人の会話や車の音も聞こえません。聞こえてくるのはただ、木々のざわめき、鳥のさえずり。自然の音が作り出す空間に包まれた、誰もが憧れる「京都」を感じられるお寺です。何度訪れても素晴らしく、この先も永く後世に伝わっていってほしいと思います。

正伝寺そんな見事な借景庭園の奥に、この日にはクレーンがそびえていました。実は、木の上の部分を伐っていたのです。お寺の方にお伺いをすると、10年弱に1回、借景を維持するために行っているのだそう。これはある意味貴重な機会でした。こうして借景の景観が保たれているのですね。正伝寺さんが特に大切にしておられるのが月見の風景。以前には「そうだ京都、行こう。」のポスターになったこともあります。今年は昨年までよりも美しい借景と中秋の名月が望めることでしょう。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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