北野天満宮で12日~14日にかけて、御手洗祭と本殿石の間の初公開が行われています。
北野天満宮は菅原道真公をご祭神とし、学問の神として崇敬を集め、今年は「京の七夕」の会場のひとつとしても賑わっています。近年は境内の改修が進められており、景観が新しくもなっています。そんな北野天満宮で12日~14日16時~20時にかけて、御手洗祭と本殿石の間の初公開が行われています。
本殿は慶長12年(1607)年に、豊臣秀頼によって建造されたもので貴重な国宝建築です。本殿としては大型ですが、その理由は本殿と拝殿が一体化をしているため。そして拝殿と奥の本殿との間に位置するのが、今回公開されている「石の間」です。神と人間の世界をつなぐ神聖な場所とされ、これまでは神職しか入れなかったそうで、今回が初公開。たいへん霊験あらたかな場所へと足を踏み入れることが許される、貴重な機会です。
さて、もうひとつの御手洗祭も北野天満宮では聞きなれない行事でしょう。実は、北野天満宮では江戸時代まで旧暦の七夕に水に足を付けて厄を祓う「御手洗祭」を大規模に続けてきましたが、明治以降は縮小していたそう。これを現代に合わせた形で再興するため境内に新たに川の流れを設け、今回新しい形式としては初めて御手洗祭が行われています。石の間の公開もこの御手洗祭の一環で、かつて神事に合わせて宝物を虫干ししていたことにちなみ、石の間では灯籠やこま犬も展示されています。
早速初日に訪れてきました。受付は、絵馬堂で行われています。御手洗祭のみは300円、御手洗祭+石の間の参拝で1000円です。時間は16時から20時と限られていますのでご注意を。まず最初にご利益が異なるロウソクを1本選んで授かり、水みくじも選んで持ちます。そして靴などを脱いで裸足になると、まずは御手洗祭。境内に新たに設けられた川の中に足を浸していきます。御手洗祭といえば、下鴨神社が有名ですが、同じような流れです。深さは下鴨神社よりは浅く、温度もやや高いですがそれでも夏には十分の冷たさを感じることができ、厄も祓われそうです。
ロウソクは川に下りて早々に灯すことができますが、川の先で「水みくじ」を濡らす際にロウソクの火が邪魔になるのと、ロウソクを献じる場所が川からずいぶん先になるため、川では灯さないほうが安全ではないかと思います。また、水みくじを灯す際に片手に火の灯ったロウソクを持ったまま行わなければならないため、誤って髪の毛を焦がしてしまったという声も聞きました。
水みくじの占い結果も、もともと文字が視認しにくいこともあって暗がりではほとんど読めないのも残念でした。今年は初年度ですので、来年以降の改善に期待します。個人的には、水みくじを濡らす場所が献灯場所の方がよいのではと思います。あるいは水みくじはなくてもよいかもしれません(暗いと読めないのと、濡れたおみくじを結ぶ場所や回収する場所が至近になく、火の点いたロウソクと濡れたおみくじを持って進まねばならないのは厳しいです)。
さて、献灯を終えて先へ進むと靴を履くためのテントがありますが、石の間を参拝される方は裸足のまま先へと進んでください(この辺りの案内も分かりにくく、来年の改善に期待)。石の間の内部は、幻想的で厳かさを感じる空間です。写真撮影は不可ですが、多数の燈籠が並べられ、貴重な宝物や狛犬も展示されています。明るい時間帯の方がはっきり見えるかもしれませんが、夜はやはり非日常の感覚が増します。改善希望はありますが、総じて御手洗祭も石の間の公開も大変おすすめです。公開は14日まで、貴重なこの機会に足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。