五山の送り火 2016年 船形 

五山の送り火「船形」
2016年の五山の送り火。今年は大雨の中での点火となりました。私は船形を眺めてきました。

五山の送り火「大」お盆の締めくくりに行われる五山の送り火。正確には観光行事ではなく、お盆に帰って来たご先祖様の霊、お精霊(しょらい)さんが迷わず冥界へと戻れるようにと夜空に灯す祈りの炎です。庶民の信仰心から生まれ、長年受け継がれてきた京都の大切な伝統行事。今年は「船形」を上賀茂橋で眺めてきました。激しい雨が降り、たいへんな送り火となった今年。東山の「大」は火勢が強まらず、近くでも見えにくかったようです。私のいた上賀茂橋からは全く見えず、御所や出町柳からもほとんど見えなかったと伺いました。前代未聞のことです。「妙・法」のように灯油を使うところは雨でも関係なく燃えたと思いますが、火床ごとの点け方の伝統の差が出たかもしれません。「船形」は予定どおり8時10分に点火がはじまりました。

五山の送り火「船形」「船形」は、夜空に浮かぶ精霊船(しょうりょうぶね)とも呼ばれ、船首は西の極楽浄土へと向いているともいいます。またふもとの西方寺の開祖・円仁(えんにん)が唐へ渡った際、帰路で暴風雨にあいますが、阿弥陀如来に祈願をしたところ無事に帰国できたという伝説から、遣唐使船の形とも伝わっています(諸説あり)。

五山の送り火「船形」上賀茂橋の上は「船形」を望むには絶好の場所。19時から車通りが止められて歩行者専用となります。ただし、そうなると歩道の部分は自転車専用の通路となるので、場所取りをしていても移動を強いられますのでご注意ください。また、橋の上からは南には東山の「大」も見えるのですが、今年は大雨の影響で全く視認できませんでした。

五山の送り火「妙」「船形」の明かりは力強く灯り、無事にご先祖様を送り届けてくれたと思います。私も雨の降りしきる中ではありましたが、静かに手を合わせて来ました。上賀茂橋からは「船形」の炎が川面に映る幻想的な光景が望めます。感動的でした。厳しい条件ではありましたが、無事に炎を灯して下さった関係者の皆様に心から感謝いたします。さて、京都旅屋としても2012年は「鳥居形」、2013年は「大」、2014年は「妙・法」、2015年は「左大」、そして2016年が「船形」と、これで五山六文字の送り火の資料がそろいました。感慨深くもあった今年の送り火。来年は穏やかな天気のもとで灯ってくれることを願っています。激しい雨音が入っていますが「船形」の点火の様子は動画でもご覧ください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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