相次ぐ台風上陸 今後も要注意

鴨川
台風12号が長崎県に上陸し、今年5個目の上陸台風となりました。まだ時期的には9月の初めで、これからが本格的な台風シーズン。今後も警戒が必要です。

鴨川なかなか台風1号が発生しなかった今年。1951年の統計開始以降(以下同様)、2番目に遅い記録で7月3日の発生となりました。台風が存在しなかった期間も198日間と過去最長タイという状況でしたが、そこから打って変わって最近は次々に台風が発生しています。特に日本近海で発生しているのが特徴で、日本近海の海水温が高いこともその要因。希にこうしたことが起こるのですが、今年は特に顕著です。太平洋高気圧が東で強かったこともあって、台風が東へと順調に進めず、東日本を北上したり北海道や東北へと向かっているのも特異な状態です。まだこの「発生ラッシュ」は終っておらず、今後沖縄近海で新たな台風が発生して、またしても日本に影響を与える可能性が示唆されています

京都御所特異な状態が起こるということは、いつにも増して災害が発生しやすいということ。岩手に甚大な大雨被害をもたらした台風10号の場合も、同じ雨量が九州や紀伊半島で降れば、ここまでの被害にはならなかったかもしれません。東北や北海道は、もともとまとまった雨が降りにくいエリアのため、地勢や河川整備によって耐えられる雨量が他の地域より低く、他地域と同じ雨量でも災害が発生してしまう場所です。さらに「統計開始以来初めて」の東北への上陸ということも重なって、同じようなパターンでの災害履歴に乏しく、避難勧告や特別警報などの事前の注意喚起が難しかったのもあったかもしれません。

鴨川今回の異常な状況の原因は、地球温暖化だとも指摘されています。海洋と大気の関係は複雑なため、具体的な因果関係の解明は難しいところではありますが、2015年の世界の平均気温は1891年の統計以降で過去最高を大幅に更新し、2016年はその2015年をさらに上回るペースをここまでは記録しています。特に2015年と2016年の上がり方は驚くべきもので、現在生きている人間は誰も経験をしたことがない気温の高さにあります。

京都タワーさらに今後もこうした気温の上昇傾向は続くと考えられており、長期的に見て台風が発生する場所や勢力がピークとなる位置の北上、勢力そのものも強まると見られています。まさに今年の状況はそうした温暖化時代を思わせる厳しい状況となっています。12号の上陸で今年はもう5個目。しかしまだ9月の初めで、本格的な台風シーズンはこれからです。近年は台風が来なくなる時期も遅くなっており、10月いっぱいは注意が必要です。どうか気象情報に十分に気を配っていただければと思います。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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