今年は9月15日が中秋の名月。洛北の正伝寺で月を眺めてきました。
正伝寺は私が好きなお寺のひとつ。門前から木々に囲まれた長い参道を登ると本堂があり、比叡山を借景にした美しい枯山水庭園が眼前に広がります。正伝寺のよさは、何と言っても人工の音がほとんど聞こえないところです。私も京都のほとんどのお庭を眺めてきましたが、こうした場所は非常に希です。他に誰もいない貸切状態になることもあり、そうなれば人の会話や車の音も聞こえません。聞こえてくるのはただ、木々のざわめき、鳥のさえずり。自然の音が作り出す空間に包まれた、誰もが憧れる「京都」を感じられるお寺です。何度訪れても素晴らしく、この先も永く後世に伝わっていってほしいと思います。
正伝寺さんが特に大切にしておられるのが月見の風景。以前には庭園からの月見が「そうだ京都、行こう。」のポスターになったこともあります。今年の6月にお伺いしたところ、ちょうど10年弱に1回という、クレーンを入れての樹木の伐採の場面に遭遇しました。借景を維持するために行っているのだそう。ある意味貴重な機会でした。今年は中秋の名月もより美しいのではと思い、やってきました。正伝寺は中秋の名月の日とその前後の合計3日間、特別に夜間拝観を行っています。夜の参道は暗いためライトを持参ください。
中秋の名月の日は、清水寺のご案内を終えてから移動をしたため、月の昇り始めは見れませんでしたが、それでも美しい月を望むことができました。今年は月が例年より西寄りに昇って来たそうです。月は真上ではなく斜めに昇るため、条件がよければ出始めは比叡山の際から昇って来るそうで、その様子を写真に収めようと多くのカメラマンが来られるのも特徴です。
そのため残念ながら「静かな風情」はありません。しかし響くシャッター音を補って余りある素晴らしい光景であることは間違いありません。この庭園は月見を意識して築かれたともいわれ、古(いにしえ)の人びともこうした月を眺めて来たのだろうと思えます。空の雲は刻々と変化し、月は意外と早く昇って行きます。いつまでも座っていたくなる眺めでした。今回は中秋の名月の翌日にも再度訪れました。両日の写真を掲載します。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。