2月25日に行われた北野天満宮の梅花祭。今年も上七軒の芸舞妓さんによる野点茶席に訪れてきました。
北野天満宮の梅花祭は2月25日に行われますが、25日は「天神さん」の縁日です。天神さんとはご祭神の菅原道真のこと。道真は生まれたのが6月25日(旧暦:以下同じ)、左遷されたのが1月25日、そして命日が2月25日と、日付はいずれも「25日」で、現在の2月25日は道真が愛した梅の花が咲くころに当たるため、道真を偲んで梅花祭が行われています。
梅花祭の神事は、午前10時から本殿で行われます。神に仕える神人(じにん)と呼ばれる氏子の方々が参列し、雅楽が奏でられる中、神職によってお供え物が運ばれます。また、玄米に紅白の梅の枝が立てられた紙立(こうだて)は「梅花御供(ばいかのごく)」と呼ばれる特徴的なもので、男女の厄年にちなんで紅梅は33本、白梅は42本が立てられて、神人によって奉納されています。神職の方は菜の花を冠に差して神事に臨み、道真の霊を「なだめる」のと「なたね(菜種)」の言葉をかけています。今でこそ2月25日は梅の季節ですが、旧暦だった頃は梅よりも菜種の季節で、梅花御供もかつては菜種御供だったと聞きます。
さて、梅花祭が人気を集める理由の第一は、上七軒の芸舞妓さん総出で行われる野点茶席でしょう。たくさんの芸舞妓さんが行き交って、境内の一角がたいへん華やかな雰囲気に包まれます。茶券は宝物館の拝観券も付いて1500円。午前10時~午後3時までですが、はじめは大変な混雑となり、チケットを購入を含めてお茶を頂けるまで2時間待ちとなることもあります。例年であれば券が余るくらいですが、今年は土曜日とあって14時には当日券が売り切れました。今回は事前に前売り券を手に入れていましたので、14時半ころに入りましたが、それでも約40分待つほどの行列でした。
席は座礼席と立礼席(りゅうれいせき:椅子に腰掛けて頂く)とがあり、選ぶことができます。違いは、立礼では飲み終えた後は個々のタイミングで席を立つことができますが、座礼席は約15分毎の入れ替え制で、その場の一同が飲み終わるまで席を立てません。そのかわり席は内側で、より近くで芸舞妓さんがお茶を立てる様子を眺めることができます。梅花祭の野点は非常に混みあいますが、それだけ人を引き寄せる魅力があり、京都の年中行事の中でも屈指の華やかさを持つ行事です。
茶席は人が多いので「落ち着いて」とは行きませんが、芸舞妓さんが丁寧にお茶を運んで下さり、おいしいお菓子や梅の甘い香りを感じながら頂く味は格別です。京都の1年間でも屈指の華やかな行事、梅花祭。お時間に余裕を持って、ぜひ茶席へと足を運んでみてください。なお、近年はカメラマンへの対応が厳しくなり、茶席が終われば速やかに退出となっていまので、ご留意ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。