東福寺では、毎年3月14日~16日にかけて法堂内で大涅槃図が公開されます。東福寺の大涅槃図は、縦12m横6mもあり、その大きさは圧倒的。東福寺の涅槃図には一般的には入らない猫が描かれていることで知られ、涅槃図を描いた明兆(みんちょう)の傍らにいつも猫がいたからだとも、赤い絵具が足りなくなったが、猫が赤い岩絵具の顔料がある谷へと導いてくれたため、お礼として書き加えられたとも伝わります。
また、涅槃図のかけられる法堂の天井には、下へと睨みをきかす「蒼龍(そうりゅう)図」が描かれています。絵を描いた堂本印象(どうもと いんしょう)は、少し描くたびに足場に上って絵を離れたところから眺め、遠くから見られることを考えて筆を入れたそう。毎日朝から晩まで絵に向かい続け、わずか半月ほどで描きあげました。龍は仏法を守り、水を呼ぶとされ、人知を越えた存在にふさわしい迫力感に満ちた絵となっています。
法堂の中には、かつて仏殿にあった高さ15mもの釈迦如来の手の部分が大切に置かれています。指の先端から手首までは2.2mと、人の背丈よりも大きく、往時の大きさが偲ばれます。高さ15mと言えば、奈良の大仏ほぼ同じ。惜しくも明治時代の火災で焼失しましたが、もし現存していれば、大いに信仰を集めたことでしょう。東福寺の涅槃図などは近年撮影禁止となったため写真はありませんが、機会がありましたら是非ご覧になってみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。