丹後半島 琴引浜の鳴き砂

琴引浜
京丹後市にある琴引浜(ことひきはま)は、砂が特有の音を出す鳴き砂で知られています。

琴引浜 石英が混ざる京都府の北部、丹後半島にある琴引浜は、全国的に見ても良質な「鳴き砂」で有名です。平成19(2007)年には国の天然記念物と名勝に指定されました。琴引浜は一見普通の砂浜ですが、石英質の多い砂の粒子が擦れあう事により、キュッキュッという高い音がします。砂が鳴くには乾いている必要があるそうで、雨の日には適しませんのご注意を。海岸最寄りの駐車場の代金は時間にかかわらず1000円で、これが実質的に砂浜の保全料ということのようです。

琴引浜 太鼓浜さて、駐車場から海辺に近い砂浜に下りると、地元のガイドさんがやってきてくれて、琴引浜について説明をしてくださいます。すすめに沿って足の裏で砂を擦るようにして歩くとよく鳴きました。地元のガイドさんは実に上手に砂を操って、まるで笑い声のように砂を鳴かせてくれました。自分でもやってみましたがさっぱり鳴かず、絶妙な力加減が必要なようです。また「太鼓浜」と杭が打たれている場所は地下の岩盤の関係で、砂浜をたたくとポンポンと鼓のような音がして不思議です。

琴引浜砂は汚れてしまうと鳴かなくなるという、たいへん繊細なものだそう。冬の荒波に洗われた後の春が最もよく鳴くそうです。現在もその音を聞くことができる琴引浜の鳴き砂ですが、過去には危機もありました。1990年には「マリタイム・ガーデニア号」の事故、1997年には「ナホトカ号」の事故があり、日本海沿岸の海岸に大量の重油が流れ込みました。

琴引浜ナホトカ号の時、丹後半島の沿岸部では7年前のガーデニア号の事故を踏まえ、一旦海岸に油が漂着すると回収が困難となるため、船を出して海上での回収に努め、またアワビやサザエ漁への影響を抑えるため油処理剤をなるべく海岸近くでは使わず、多くのボランティアによる手作業で回収を進めたそうです。特に琴引浜では、ふるいを使って小さな油塊も徹底的に回収をし、事故から半年後の夏にはいつも通りの「鳴き砂」が戻ったのだそう。

琴引浜しかし今でも問題なのは漂着物。冬の季節風で砂浜に打ち上げられるゴミも、鳴き砂の大敵です。特に分解されないプラスチックの破片が問題なのだそうです。こうしたゴミの回収や環境の保全が地元やボランティアによる努力によってなされ、いまも鳴き砂が維持をされています。なお、鳴き砂保護のため、砂浜では花火はもちろん喫煙も禁止されています。そして鳴き砂の持ち帰りも禁止。砂浜には微小な貝が生息しており、最初は鳴いていても、貝が割れる粉でやがて砂は鳴かなくなるのだそう。常に水で洗われる砂浜にあってこその鳴き砂です。機会がありましたら、その不思議な音色を聞きに訪れてみてください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。

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