西本願寺 花灯明 飛雲閣のライトアップと書院の夜間公開

西本願寺の夜間拝観
西本願寺で「花灯明 ~夜の参拝・特別拝観~」が、5月にかけて行われています。京都ファンは必見の行事です。

西本願寺の夜間拝観西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山で、御影堂と阿弥陀堂が2014年から正式に国宝となりました。西本願寺が現在地に移ってきたのは天正19年(1591)年のこと。以後、江戸時代を通じて京都には数々の大火がありましたが、江戸初期を除き西本願寺の建物は奇跡的にその災禍をくぐりぬけ、新たに国宝に指定された御影堂と阿弥陀堂を含めて7件もの国宝建造物が現在にまで伝わっている大変貴重なお寺です。世界遺産としても登録され、京の三閣の一つ飛雲閣(通常非公開)や、その美しさから眺めていると日が暮れてしまうという唐門は名高く、絵画でも親鸞上人像は鏡御影と安城御影がそれぞれ教科書などでもおなじみ。寺宝の数々は枚挙にいとまがありません。

西本願寺の夜間拝観と書くと、格式高く近寄りがたい印象を受ける方がおられるかもしれませんが、浄土真宗のお寺はお堂への参拝は自由に行ってよいところが多く、西本願寺でも国宝となった阿弥陀堂や親鸞聖人をおまつりしている御影堂には、各自が自由に上がって手を合わせることができます。実は気軽に参拝ができる本山として、門徒の方や地元の方から親しまれています。現在は、2014年に門主に就任した大谷光淳氏の伝灯奉告法要が5月末まで順次行われており、期間中は「西本願寺 花灯明」として書院の内部と飛雲閣の外観の夜間特別拝観が行われています。

西本願寺の夜間拝観通常は「書院」や、書院東にある特別名勝の「虎渓の庭」、聚楽第の遺構ともされる「飛雲閣」は、事前予約での拝観となりますが、夜間拝観ができるとは大変貴重な機会です。しかも、これまでは禁止されていた飛雲閣の写真撮影がOKというのも驚きです(書院や虎渓の庭は引き続き撮影禁止)。飛雲閣は今年7月から2019年にかけて屋根の葺き替え工事に入るため、最後の見納めという意味もあるのかもしれません。

西本願寺の夜間拝観書院は、門主との対面の場として用いられる建物で、南側の203畳敷の対面所と北側の白書院からなります。障壁画や欄間等のあまりの豪華さから、俗に秀吉の伏見城からの移築といわれますが、書院が建てられた頃には秀吉の伏見城は焼失しており、実際にはもともと西本願寺によって建てられたとされます。対面所の主室は欄間に雲と鴻(こう)の鳥の透かしがあることから「鴻の間」とも呼ばれています。門主がより大きく見えるように柱間が工夫され、能舞台ともなる構造になっています。今回の夜間拝観では立ち入ることはできませんが、その広さや豪華さは感じることができます。また、5月21日の親鸞聖人降誕会(ごうたんえ)の際に能が奉納される南能舞台もたいへん幻想的に照らされてました。

西本願寺の夜間拝観対面所の奥、書院の西側には控え室として用いられた、雀の間、雁の間、菊の間と続きますが、いずれも襖絵や欄間が素晴らしいです。特に雁の間の欄間の透かしからは、隣の菊の間に描かれた月が覗くという工夫もなされています。そして三つの部屋からなる白書院も障壁画の見事さに圧倒されます。クジャクの絵は特に印象に残るでしょう。白書院は対面所よりはプライベートな対面に用いられた部屋です。上段である一の間の豪華さは、お寺というよりはお殿様の御殿のようです。夜の灯りに輝く様は幻想的でたいへん素晴らしく、この機会にぜひご覧いただきたいと思います。また、白書院の北にある北能舞台は、日本最古の能舞台として国宝です。

西本願寺の夜間拝観書院の東側には特別名勝の「虎渓の庭」があります。御影堂の屋根を中国の廬山に見立て、渓谷の虎渓を巨石で表された滝組と砂を用いた川の流れで表現しています。江戸初期には珍しかったソテツを植えているのも特徴です。大小の石で流れの強弱を表現していますが、この石は、江戸時代初期に聚楽第から庭石を運び出したという記録があるそうで、おそらくその石が使われているとされます。特別名勝という庭園の最高峰の美しさに目を奪われますが、庭に面した狭屋(さや)の間の天井に描かれた様々な書物の中央には、本がネズミにかじられないようにとの願いで、猫が描かれているところにもご注目ください。経路としてはこれで一周。夜の書院の雰囲気は、他では味わえない特別な空間でした。

西本願寺の夜間拝観さて、さらに飛雲閣も待っています(内部は非公開)。飛雲閣は聚楽第の遺構とも言われる国宝建築。楼閣は三層構造で階段状になっていて、それは秀吉がそれぞれの階で上座に座り、その上に誰も立たせないためだとも言われています。複雑な構造の建物は、見る位置によって受け手の印象が大きく変わり、歩くたびにその美しさが変化していきます。これまで写真撮影が禁止されていましたが、今回は撮影がOKとあって、その個性的かつ美しい佇まいを写すことができました。西本願寺の夜間拝観、京都ファンの方は必見です。期間は分かれており、目先~5月16日(火)、5月24日(水)~5月31日(水)となっています。この機会にぜひご参拝ください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。

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