山科の入り口にある大乗寺では酔芙蓉(すいふよう)の花が咲いています。
大乗寺は、もともとは上京区にあった尼寺で、昭和55年に山科の現在地、日ノ岡に移転してきました。一時はかなり荒れ果てていたそうですが、平成4年に移り住まれたご住職により、参道の整備など復興がなされました。その際に酔芙蓉を植え、年々数を増やして現在では1500本ほどを数えるそうです。これほどの数が群生するのは全国的にも珍しく、大乗寺は酔芙蓉の寺として知られるようになりました。
一般的な芙蓉の花は8月~9月が見ごろの時期ですが、酔芙蓉(すいふよう)は、秋に入った9月後半~10月にかけて見ごろを迎える花です。朝は純白で、午後には淡いピンクに変わり始め、夕方から夜には紅色になる面白い花です。その様子からお酒に酔う芙蓉、酔芙蓉として古くは平安時代から親しまれてきました。花言葉は繊細な美、しとやかな恋人だそうです。
この日私が訪れたのは昼過ぎでしたが、まだ白い花からほのかにピンクに変わり始めた頃合いでした。有名寺院と違って、静かに眺められるのがこのお寺のよいところでしょう。この境内だけ時間がゆったりと流れているかのようでした。奥には酔芙蓉観音と称される優しい観音像もあります。境内には蚊をよけるための団扇が用意されていましたが、蚊もいるため虫よけ対策をされると安心でしょう。大乗寺へは、地下鉄の御陵(みささぎ)駅から歩いていくことができます。門前は旧東海道で、そこから急な階段を上ると酔芙蓉が待ってくれています。見ごろは10月まで続きますので、足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。