5月12日に下鴨神社の神迎えの神事、御蔭祭(みかげまつり)が行われました。
12日に行われた下鴨神社の重要神事が御蔭祭です。下鴨神社や上賀茂神社は毎年新しいご神霊・荒御霊をお迎えして社殿の神の力と合わせることによって、神の力を強めています。また田植えの時期である今の時期に新たな神に神饌を献じておもてなしをし、五穀豊穣を祈願する意味合いもあるそう。葵祭の発祥は、賀茂の神の祟りによって引き起こされた風水害による凶作を鎮めたことにあり、15日の路頭の儀は朝廷から賀茂神へと御幣物(ごへいもつ:ささげもの)を届け、風水害が起こらず五穀の実りが無事にもたらされることを祈願するのが目的です。
下鴨神社の神が降り立つ(お生まれになる)のは、高野川をさかのぼった比叡山の麓にある御蔭山に建つ御蔭神社。普段はほとんど人影のない神社です。賀茂の神は祟ると風水害を起こすとも考えられた水の神でもあり、上賀茂神社は賀茂川にそった神山(こうやま)に、下鴨神社は高野川にそって神の降臨地を持っています。
さて、下鴨神社の御蔭祭では、午前9時から神事のあと一行は神宝や祭具を持ち列を整えて、楼門の前から鳥居を抜けて出発していきます。ただ、御蔭神社まで歩くのではなく、すぐに用意されているマイクロバスに乗り込んで御蔭神社へと移動をしていきます。こうして昼の12時に神迎えの神事が行われて新たな神が迎えられるのです。
その後、一行は再び車で移動をして、赤の宮神社を経たあと、今年は茶ノ木原公園から下鴨本通を徒歩で南下して下鴨神社へと向かってきます。昨年までは、下鴨本通では神霊は神輿ではなく神馬の背に乗って移動をし、この形式が最も古い神幸列だとも言われていました。しかし、今年からは神馬への遷御が河合神社で行われることとなり、下鴨本通ではトラックの上での移動となったのが残念でした。
河合神社で馬の背に遷御された神霊は糺の森の中ほどにある、参道が少し広くなっている場所「切芝」において、糺の森に宿る神々の精霊とともに東遊(あずまあそび)をご覧になります。これが切芝神事で、御蔭祭のハイライトでもあります。今年も多くの方が見守りました。神馬にお乗りになった神は、馬の目を通して舞をご覧になりますが、馬が顔だけを出して舞を見るさまは可愛らしくもあります。舞が馬に向かって奉納されるのも特徴です。切芝神事が終わると、行列はさらに境内奥へと進み、非公開の神事が行われて荒御霊と和御霊が合わさります。こうして力が強まった賀茂の神。15日の路頭の儀も無事に行われればと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。