長岡京市の楊谷寺(ようこくじ)を訪れてきました。今年は、紫陽花(アジサイ)のあしらわれた手水鉢とハートのベンチがインスタ映えするとして、大いに話題となってます。
楊谷寺は長岡京市の山中に建つ観音霊場で、清水寺を開いた延鎮上人によって開山された後、弘法大師・空海も参詣したと伝わるお寺です。古くから眼病平癒のご利益で知られ多くの参詣者が訪れました。現在も毎月17日のご縁日を中心に病の平癒を願う人々で賑わいます。境内には、弘法大師ゆかりで眼病に効くと伝わる独鈷水(おこうずい)も残っています。このお寺は普段は信仰の場所としての雰囲気が漂い、世俗を離れて遠くへ旅行へ来た気分になるお寺です(今は人が多いですが)。
観光では府の名勝庭園とアジサイ・紅葉が知られています。アジサイは庫裏から奥ノ院へと向かう長い回廊の途中にあり、この回廊がまるで探検しているような気分にさせてくれ、雨でも安心してアジサイを眺めることができます。ちょうど見ごろを迎え、今年は6月9日~7月1日まではアジサイウィークとして、入山料が200円、通常は毎月17日のみの公開の上書院も10時から公開されています(800円)。上書院については、近日中に別途ご紹介できればと思います。
今年の楊谷寺は、例年以上に人気が出ており、その理由が「紫陽花が浮かぶ手水鉢」。優しい色彩がSNS映えするとして、一挙に火が付き、若い方々やカップルを中心に、例年以上にたくさんの方が訪れているようです。この日も、10時台から手水鉢の前には人が絶えず、御朱印も次々に出ているのが印象的でした。7月1日までのアジサイウィークの期間中は、紫陽花の手水鉢も見られるようです。また、奥の院の裏と阿弥陀堂の脇から登っていった場所には、背もたれにハート形の穴が開いたベンチも置かれてます。穴からは紫陽花が覗いて、こちらもSNS映えするとして人気です。
2年前に訪れた時には、今のようには手水鉢に紫陽花は浮かべられておらず、ベンチもハートの背もたれにはなっていませんでした。まさにアイデアによって一挙に有名になったと言えるでしょう。最近は、宇治田原町の正寿院のハート形の窓(猪目窓)も急激に有名となりましたが、ブームをひとつのきっかけとしつつ、長く訪れてもらえたり、お寺にも興味を持っていただけるとよいのではと思います。
なお、手水鉢の水では口を注がないでくださいとの張り紙がありますが、アジサイには毒がある可能性があったり(科学的にははっきりしないそう)、水の衛生状態もあると思われます。あくまで観賞用としてご覧ください。手水鉢は門をくぐった本堂前のものが最も大きいですが、境内各所の手水鉢にも花があしらわれています。なお楊谷寺へには、自家用車かタクシーが基本的な交通手段となります。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。