矢田寺は寺町三条上るにあるお寺で、お盆の終わりに先祖を冥界へと送る「送り鐘」でも知られるお寺です。奈良の矢田寺の別院として承和12(845)年に創建され、戦国時代に現在地に移って来ました。本尊は、地獄の炎で煮えたぎる鉄釜の中で苦しんでいた罪ある人でさえも救っていたという地蔵菩薩(僧侶)の姿を写したものとされ、代受苦(だいじゅく)地蔵の別名でも信仰を集めています。そのため、矢田寺で拝む本尊・地蔵菩薩の御前には、鉄釜の炎を表す火炎の彫刻があるのが特徴です。
冬至の日にかぼちゃを食べると、中風除けや諸病退散にご利益があるとされ、矢田寺ではかぼちゃ供養が行われて、焚いたかぼちゃの接待もあります。忙しい師走の時期にかぼちゃを頂きながらホッと一息ついてもらえたらという、お寺さんの心配りもあるそうです。かぼちゃを頂くと1年間無病息災に過ごせるといわれていわれていて、境内には重さ70㎏もあるという大きな「撫でかぼちゃ」が安置され、撫でながら無病息災を祈願します。庶民を救う地蔵菩薩の寺らしい風習ですね。
かぼちゃは先着1000名に振る舞われ、長い行列が伸びてたくさんの方が頂いていました。冬至は昼の時間が最も短く、陽の気が最も弱くなるともいえますが、逆に言えば当時を過ぎれば陽の気は強まり、運気も回復していくと捉えることができます。かぼちゃを頂いて、元気に新年を迎えられたらと思います。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。