天道神社は、延暦13(794)年、桓武天皇が平安京に遷都した際、もともと長岡京に鎮座されていた天道神社を、三条坊門東洞院(現在の東洞院御池上る付近)の地に遷されたと伝わります。当時の境内は1町四方におよぶ広大で荘厳な宮だったとされますが、その後、応仁の乱など度々の兵火を経て、天正2(1574)年、織田信長により五条坊門猪熊の現在地を授かって現在に至ります。
主祭神は天照大神、左右に八幡大神、春日大明神の三柱の神々を祀ります。境内社に天道天満宮などを祀り、また歴代皇室の崇敬が篤く、境内には明治天皇の皇后となった昭憲皇太后(一条美子)の御胞衣(おえな)を埋納した塚がありますが、これはご誕生の際に占いによっておさめる場所が選定されたのだそうです。
さて、5月17日に執行される「天道花神事」は、天に向かって花飾りを高く掲げるもので、国宝の上杉本「洛中洛外図屏風」にも描かれている行事。京都では天道神社でのみ伝えられているとされます。本来は釈迦が生まれた旧暦4月8日の花祭りの日に掲げられ、高い竹の先に、春の花を十字に結んで庭に立てて天道様(太陽)にお供えものをし、五穀豊穣を祈ったとされます。花の下には「千はやぶる卯月八日は吉日よ かみさけ虫をせいばいぞする」との和歌が下げられていますが、これも花祭りの際に釈迦の誕生仏にかけられる甘茶に虫除けの成分がある事から、紙に墨に甘茶を混ぜてこの和歌を書き、逆さまにして戸口に貼るという習わしから来ていると考えられます。
時間になると神職や氏子代表をはじめ人々が集まり、粛々と神事が行われました。続いて御胞衣塚神事も行われます。この神事は、昭憲皇太后の誕生日が旧暦4月17日である事から、月遅れの5月17日に胎盤が埋められた胞衣塚(おなえづか)で行われます。境内の塚の前での拝礼が行われました。花しょうぶが供えられているのは、昭憲皇太后が好まれたお花だからだそうです。古の風習を思わせてくれる一日限りの天道花。機会がありましたらご覧になってみてください。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。