福知山城は、丹波平定を行った明智光秀が、前身の横山城を当時の城郭建築の粋を集めて改築し「福知山城」と改めたものです。天守閣や広大な二の丸御殿などの多くの建物は、明治4年の廃藩後次々に取り壊されており、現在は天守台から本丸にかけての石垣や井戸、番所などが主に伝わります。
光秀時代のものが残るという本丸の石垣には転用石が多いのが特徴です。転用石とは、寺の石塔や石仏、石臼などの石製品を石垣の一部として転用したものです。見た目が普通の石とは明らかに違うため、すぐに気がつくでしょう。特に天守台の石垣に数多く見受けられます。転用石を用いた理由としては、石材が不足し工期短縮のために使ったという説、寺院の象徴的な石塔石仏を用いることで、旧来の地元勢力の否定やあるいは城を守護する意味も込めたのではとの説もあります。
現在の天守閣は、昭和61年に再建されたもので、近世初期の望楼型として外観は忠実に再現されていますが、構造は鉄筋コンクリート造です。内部は郷土資料館として利用され、明智光秀に関する資料を始め、江戸時代に歴代の城主を務めた朽木氏に関する資料や甲冑なども展示されています。最上階からは福知山を一望できます。注目は由良川の流れが明智藪という光秀が築いた堤によって流れが変えられていること。光秀の土木工事によって、現在に至る福知山の基礎が形作られました。
2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公が明智光秀で、城の麓にある佐藤太清記念美術館の2階が「大河ドラマ館」として2020年1月11日にオープン予定です。亀岡市や長岡京市とともに、光秀ゆかりの地として賑わいそうです。機会がありましたら足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。