八坂神社の初能奉納と六波羅蜜寺の皇服茶

八坂神社 初能奉納
八坂神社では1月3日に初能奉納がありました。

六波羅蜜寺 皇服茶京都の新年で賑わうお寺のひとつが六波羅蜜寺。梅干しと結び昆布の入った皇服茶(おうぶくちゃ)や、授与される稲穂(福徳自在初稲穂)も京都の定番の初詣の光景です。稲穂には様々な引き出物を有料で付けることもでき、玄関の内側に飾って一年間の厄除けとします。そして皇服茶は、寺伝では951年に京都で疫病が流行った際に、空也上人が彫り、リヤカーに乗せて市中を歩き、梅を入れて仏前に献じた茶を病人に授け、踊りながら念仏を唱えて疫病を鎮めたとされます。そのお茶を村上天皇も服用したところから「皇服茶」の名で呼ばれ、広まっていったそう。六波羅蜜寺はその元祖として、正月三が日に300円でお札と共に授与されています。毎年飲みに来られる方も多く、京都のお正月に欠かせない行事といえるでしょう。

八坂神社 初能奉納一方、八坂神社では1月3日に初能奉納がありました。観世流と金剛流とが隔年で「翁」を演じる新春の恒例行事で、今年は観世流の順番でした。「翁」は、五穀豊穣、国家安泰、天下泰平を祈願する儀式的な内容で、特にストーリー性もない演目のため、能の解説サイトでは「能にして能にあらず」と書かれています。この演目の起源は能の初期であるために格式が高く、新年や祝賀祭などで好んで演じられています。

八坂神社 初能奉納「翁」の演目では、まず露払いの意味合いで千歳(せんざい)がさっそうと舞った後に、翁面をつけた能役者が舞い、続いて狂言役者が演じる三番叟(さんばそう)が登場して、勢いよく掛け声を発しながら舞台を駆け回り、その後、鈴を振りながら躍動的な舞を舞って行きます。能役者が演じる翁は、千歳(せんざい)が舞っている最中に舞台上で面を付ける点が、他の演目とは大きく異なっているそうです。

八坂神社 初能奉納人の声や演奏が作りだす、いわゆる幽玄(非常に趣が深い)の世界には毎回強くひきこまれるものがあります。一朝一夕の練習では作り出せない、この世界観が能の醍醐味なのでしょう。こうした素晴らしき伝統芸能が、もっと多くの人の目に触れてほしいと思います。機会がありましたら、ぜひご覧ください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。

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