上賀茂神社では、1月7日に白馬奏覧神事(はくばそうらんじんじ)が行われ、牽馬の儀(ひきうまのぎ)では境内を神馬の神山(こうやま)号が歩きました。年の始めに白馬(あおうま)を見ると一年の邪気が祓われるといわれており、古くは平安時代の天皇も同じように白馬(あおうま)を見ていました。白馬と書いて「あおうま」と読ませるのは不思議ですが、その理由は陰陽五行説から来ているようです。陰陽五行説では、万物を作る5つの元素(五行)のうち「木」が春の象徴とされ、さらに春は青色と対応付けられています(青春の語源ともなっています)。また、春に陽のものを見るとその年の邪気を避けることができるとされ、春の青色と、陽の生き物である馬とが結びついて「青馬」を見るようになったといわれています。
やがて日本では、青に替わって白が最も高貴な色とされ、穢れを払う意味でも白が相応しいと考えられるようになりました。ということで、「あおうま」の発音を残したまま表記が「白馬」となっていったそうです。また、平安人が捉えた青は、赤と黒の中間に当たる幅広い色のことで、白馬も真っ白ではなく白に灰色が混ざったぼんやりとした色の馬だったのではないかと考えられています。以上は、風俗博物館のサイトを参考にさせて頂きました。
上賀茂神社では現代には珍しい生きた白馬がおり、神山号(こうやまごう)の名で親しまれています。この神山号は2011年の11月に代替わりを果たし、戦後7代目だそう。元の経歴は、千葉県の中山競馬場が寄贈した雌のサラブレッド「メダイヨン」で、現在の年齢は15歳かと思います。普段は京都産業大学の馬術部の学生によって世話をされており、上賀茂神社にはいませんが、神事がある時には境内へと出社してきます。
白馬奏覧神事の牽馬の儀の際には、普段は目にすることがない馬の後ろ姿も目にすることできます。筋肉質な様や美しい尻尾の毛並みなど印象的な姿でもありました。今年は橋殿が修復中であったためか、立砂を三周してから、楼門の前で本殿を拝し、再び神馬舎へと戻って行きました。新年に邪気を祓い、今年一年無事に過ごせればと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。