深草の茶碗子の水

茶碗子の水
深草に茶碗子の水と呼ばれる名水があります。

茶碗子の水龍谷大前深草駅から、宝塔寺へ向かう道路の脇に茶碗子(ちゃわんこ)の水(井戸)があります。現地の案内板によると、都に住む茶人が、普段から使いの者に宇治橋より水を汲ませて、茶の湯に用いていました。ある時、使いの者がいつものように宇治で水を汲んで帰る途中、この近くまできて水をこぼしてしまいます。そこで、使いの者はこの地に湧く水を持ち帰り、知らぬ顔をしていたそう。しかし、主人はいつもの水と違うことを見破ってしまうのです。問い詰められた使いの者が、観念して一部始終を話したところ、主人に叱られるどころか、宇治川の水よりも良いとほめられ、その後は宇治までの遠出の必要がなくなったとのこと。また、豊臣秀吉も茶碗子の水をお茶に愛用したそうです。

茶碗子の水なかなか興味深い伝承です。伏見一帯はよい水が湧く地とされ、もう少し南の藤森神社には「不二の水」があります。深草伏見地域の土壌には粘土層の上に砂礫層があって水が染みこみやすく、一方で桃山断層に沿った場所で湧水があるという特徴があります。藤森神社や御香宮神社はそうした断層付近に位置しており、茶碗子の水も同じようなメカニズムで水が湧いているのかもしれません。

茶碗子の水平成26(2014)年6月に、町内や地域の方々等により周辺の整備が行われ、お地蔵様の祠や、鶉の里である深草を詠んだ藤原俊成の「夕されば 野辺の秋風 身にしみて うづら鳴くなり 深草の里」の和歌や、その本歌取りである大田南畝の狂歌「ひとつとり ふたつとりては 焼いて食ふ うづらなくなる 深草の里」の石碑、井戸の裏には子供たちのかわいいお地蔵様や、実際に水が汲める手動ポンプもあります。地元の方々の思いを感じる場所でもありますので、機会がありましたら立ち寄ってみて下さい。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。

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