茅の輪が登場した八坂神社

八坂神社 茅の輪
八坂神社内に新型コロナウイルスによる厄除け祈願で茅の輪が登場しています。

東山花灯路中止大きな影響が出ている新型コロナウイルスによる感染症。東山では、東山花灯路や円山公園の桜のライトアップも中止が発表されています。一方、高台寺のライトアップは予定通り行われています。疫病除けの信仰で知られる八坂神社では、境内の疫神社の前と本殿の脇に厄除けの「茅の輪」が登場しました。

八坂神社 茅の輪八坂神社の主祭神は、現在はスサノオノミコトですが、かつては「牛頭天王(ごずてんのう)」でもありました。牛頭天王は、天竺にある祇園精舎の守護神とされ(ただし、実際は日本独自の神とする説が有力)、別名を武塔天神(むとうてんじん)といいます。「備後国風土記」逸文によると、ある時、武塔天神は旅先で一晩の宿を求めますが、裕福な巨旦将来(こたんしょうらい:人物名)は宿を貸さず、貧しい蘇民将来(そみんしょうらい:人物名)が宿を提供したと伝わります。武塔天神はそのことに感謝をして、正体はスサノオノミコトであると明かし、のちに疫病が世に流行るけれど、蘇民将来とその子孫は腰に茅の輪をつけていれば、疫病にかからないようにしたと伝えています。

八坂神社 茅の輪7月に行われる八坂神社の祇園祭はこうした故事を思わせ、普段は都の外に祀られている八坂神社の祭神(牛頭天王)を都の内へと迎えて御旅所で一週間おもてなしをし、疫病鎮めを願います。山鉾は祭神が乗る神輿巡行の前に街を清める露払いの役割を持ち、厄除けの粽が授与されます。その祇園祭の最後の行事が、八坂神社の境内にある「疫(えき)神社」で行われる夏越祭と茅の輪くぐりです。疫神社には蘇民将来が祭神としてお祀りされています。

八坂神社 茅の輪のくぐり方6月30日の茅の輪くぐり自体は全国の神社で行われていますが、今回のように「疫病」が流行るときには、八坂神社こそが疫病鎮めのご利益が最も期待される神社だといえるでしょう。今回臨時で茅の輪が登場したのも納得の流れではあります。私も早期収束の願いを込めて、疫神社と本殿脇と、それぞれをくぐらせていただきました。

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ガイドのご紹介

吉村 晋弥(よしむら しんや)

京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。

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