神泉苑は、二条城に南に残る平安時代の天皇の庭、禁苑だった場所です。現在も池が残り、赤い橋もかかって良い雰囲気の空間です。清らかな水(神泉)が絶えず湧き続ける場所であることから、平安時代から雨乞いの地ともなり、東寺の空海と西寺の守敏の雨乞い対決でも知られています。平安時代の日照りの際には水門が開かれて水が放流されたこともありました。
神泉苑は、後の祇園祭に繋がる御霊会(ごりょうえ)が催されたことでも知られます。御霊会とは、政治的な陰謀によって非業の死を遂げた人々の怨霊(おんりょう)を慰めることで、疫病を鎮めた祭です。奈良時代から平安時代にかけては、疫病や高貴な人たちの不幸は怨霊によってもたらされると信じられていました。祇園祭の前身となった御霊会では、当時の国の数66にちなんで66本の鉾をたてたとされ、現在も5月初めの神泉苑祭では、剣鉾が立つ様子を見ることができます(ただし、現在の形態の剣鉾は江戸時代以降に定まったものとの説があります)。
例年、神泉苑祭が5月1日から4日にかけて行われますが、今年は3日に法要が行われましたほかは、静御前の舞などの華やかな行事は中止となっています。2日の日に参拝に訪れると、剣鉾は出て子ども神輿は善女龍王社に祀られていました。疫病退散を願い、例年と変わらぬツツジの美しさに心を和ませていただきました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。