24日に行われた祇園祭の御神霊渡御祭。祇園石段下が2020年祇園祭のクライマックスでした。本当に感動的な場面でした。
例年の還幸祭に相当する24日の御神霊渡御祭。御旅所を出発した御神霊は馬の背に乗り、例年の中御座のコースで神泉苑から三条通を経て東へ進みました。烏丸通を通過し京都文化博物館を過ぎた辺りで三若神輿会の皆様による出迎えがありました「ほいと!ほいと!」の掛け声が響く様子は感動的です。しばしの休憩の後、再出発する際にも同様の掛け声で見送っておられました。雨がしっかり降っていましたが、皆が濡れながら見送っていました。
列は寺町通を南下。錦小路では錦神輿会の皆様による出迎えがありました。こちらも胸が熱くなる光景です。列は四条通に出て雨の中を八坂神社へ向かって進んでいきました。関係者の皆様も大変そうですが、あと少しです。そして思いがけないクライマックスが八坂神社の西楼門前、祇園石段下の四条通と東大路との交差点で待っていました。
まず、神輿会の皆様が門の前で横一列に並んで還幸列を出迎え、「ほいと!ほいと!」の掛け声が響きました。これだけでも十分感動的でしたが、神馬が進むと掛け声が「まわせ!」と変わり、なんと神馬1頭だけが道路上で大きく円を描いて回り始めたのです。車は止められ、降りしきる雨の中で路面が車のライトによって明るく照らされました。
その光の中を神馬が進む様子はまさに神々しく、沿道で眺めていた観客たちも想定外の出来事に感極まって「まわせ」の掛け声があちこちから聞こえてきました。祇園祭への強い思いを持った方々が集まっている空間、涙した方が何人もおられたでしょう。心底感動した神馬の三周でした。間違いなく2020年の祇園祭のクライマックス。そして祇園祭の歴史に残る場面だったと思います。この場面は動画がありますので、ぜひご覧ください。
三周回った神馬は南楼門から八坂神社の境内に戻り、舞殿の周囲を回ってから、御神霊は神輿庫に安置されているお神輿に遷座されました。そして23時から境内の電気を消して、御霊をご本殿にお戻しする神事が行われました。本殿にご遷座後の神事で、宮本組の皆様が雨の中で参拝をされる様子も印象的でした。今回不思議だったのは、神泉苑に御神霊がお出ましの際に雨が降り出し、八坂神社に戻られ一旦お神輿に遷座されると雨が弱まり、23時からのご本殿へのお戻りの際に再び強く降り、神事が終わると雨が止みました。清めの雨だったのかもしれません。こうして祇園祭の重要な神事は無事に終わりました。なんとか新型コロナウイルスによる疫病が収まってくれることを、私自身も強く強く願ってきました。雨の中でご奉仕された関係者の皆様に、心より感謝いたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。