宸殿の再建が進む曼殊院

曼殊院

洛北の曼殊院を訪れました。宸殿の再建工事が行われています。

曼殊院曼殊院は、天台宗の門跡寺院で、五箇室(ごかしつ)門跡のひとつに数えられます。他の4つは、青蓮院、三千院、妙法院、毘沙門堂です。創建は、最澄が比叡山に建立した一堂に始まり、明暦2(1656)年、良尚法親王のときに現在地に移り、建物や庭園が整備されました。明治初期までは北野天満宮の管理職(別当)も兼務していた関連で、門前には天満宮も祀られています。

曼殊院良尚法親王は、桂離宮を整備した八条宮智仁親王の子で、兄は智忠親王です。良尚法親王も芸術面で秀でた方であったため、曼殊院に残る書院には、桂離宮とも共通する部分があるのが特徴。瓢箪の形をした引手や富士山形の釘隠し、表裏の菊の彫刻がほどこされた欄間など、細部にまでこだわりを持って造られています。良尚法親王自身も書や絵を残しており、そのセンスの高さには感嘆させられます。

曼殊院書院が面する深山と海洋を表現した庭園は趣があり、据えられたフクロウに似た彫刻があしらわれた手水鉢も名高いです。4月下旬にはキリシマツツジも綺麗で、今の時期は緑の美しさが印象的。晩秋の紅葉も見事です。寺宝や襖絵も貴重なものが多く伝わっています。境内は基本的には静かに楽しめるのも特徴で、優美な空間を堪能できるでしょう。

曼殊院現在進められているのが、宸殿の再建工事です。明治の初めまでは大玄関と大書院との間に「宸殿」があり、そこが本堂でした。明治5年、京都府療病院(現・京都府立医科大学付属病院)の建設に際し、建物が寄付されて現存しておらず、曼殊院では再建の費用を募ってきました。いよいよ悲願ともいうべき再建工事が始まっているのです。19日に訪れると土台の部分が姿を現していました。まだ時間はかかりますが、再建がなる日を私も楽しみにしています。

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ガイドのご紹介

吉村 晋弥(よしむら しんや)

京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。

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