南山城の浄瑠璃寺では、九体阿弥陀仏が順次修復に入っていますが、11月8日まで三重塔の薬師如来像が御開帳されています。
浄瑠璃寺の阿弥陀堂は平安時代に多数建てられた九体阿弥陀堂のうち、現在に残る唯一の遺構で、堂内には人が極楽往生に至る九つの段階に応じた九体の阿弥陀如来像が、今も金色の輝きで残されています。約900年前の仏様が、恐らく当時と変わらぬ並びで目の前に残っているというのは素晴らしいことです。もちろん建物も阿弥陀仏も国宝です。
庭園は浄土思想を取り入れており、西に阿弥陀堂が、東には薬師如来を祀る朱色の美しい三重塔があります。もともと寺の創建時の本尊は薬師如来と考えられており、薬師如来の浄土である薬師瑠璃光浄土から、寺は浄瑠璃寺と呼ばれました。薬師如来は、病といった現世の苦しみを除き、阿弥陀如来は来世で極楽浄土に導いて下さる仏様。当時の人々の信仰が目に見える形で現れたお寺といえるでしょう。現在、11月8日まで、この薬師如来像が御開帳されています(荒天時は中止)。貴重な機会です。ちなみに三重塔は平安時代の末期に一条大宮から移築された国宝の塔。大変貴重な平安時代の建築物です。
九体の阿弥陀如来像は、2018年から1体~2体ずつ順次修復に入り、現在は中尊が修復のため現地では拝めません。九体の修復が終わるのには約5年かかるそうです。残念ではありますが、後世へ受け継ぐための大切な期間と捉えたいですね。中尊の代わりに来年の6月20日までは、秘仏の大日如来像が阿弥陀堂内で拝せます。また、11月末までは人気の吉祥天像も御開帳されており、特に8日までであれば薬師如来、大日如来、吉祥天と、普段秘仏の仏様3体を拝することができます。
なお境内は、近年猫の数が急激に増え「猫寺」と呼べるほどにもなってきました。賛否はあると思われますが、猫好きにはたまらないでしょう。浄瑠璃寺へは、JR加茂駅からのバスのほか、JR奈良駅・近鉄奈良駅からのバスもあります。浄瑠璃寺は地域柄、奈良とのつながりも深いため、そちらから訪れるのもおすすめです。また、11月30日まで、浄瑠璃寺、岩船寺とその間の石仏巡りを含めた「謎解きゲーム」を楽しむことができます。そちらについては近日中にご紹介します。
『京ごよみ手帳2021』休刊のお知らせ
宮帯出版社様より例年発行されております「京ごよみ手帳」の2021年版は、残念ながら休刊となっております。新型コロナウィルス感染予防のため様々な行事が中止・縮小され、来年の行事予定がわからないという場所が多い状況です。毎年、ご利用頂きました皆様にはご不便をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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