嵯峨野の二尊院では、美しい新緑と二尊院普賢象桜に出会うことができます。
二尊院は、天台宗の慈覚大師・円仁によって平安初期に創建された寺院で、正確には小倉山二尊教院華台寺といい、鎌倉時代の釈迦如来像、阿弥陀如来像の二尊をお祀りするところから、二尊院の名がよく知られています。入り口の立派な総門は、伏見城の薬医門を移築したものと伝わり、そこから続く一直線の参道は「紅葉の馬場」と称されて、晩秋には多くの参拝者で賑わいます。
新緑の時期も大変見事で、静かに歩くことができ、京都らしさを感じられる場所のひとつです。本堂の裏には、射干の花が咲き、清涼感あふれる眺めを見せています。法然上人ゆかりの寺でもあり、詳しくは省略しますが、二尊の本尊は善導大師が説かれた二河白道(にがびゃくどう)の話が元になっているといいます。法然上人の湯上りのくつろいだ姿を描いたという「足曳きの御影」も有名で、絵師が法然上人が足を出した姿をこっそりと描いたものの、法然上人が念じると描かれた足がひっこんだとの伝説があり、模写を本堂で目にすることができます。墓地には、角倉了以をはじめとする角倉家や、伊藤仁斎・東涯の墓があるなど、見どころが多い寺院です。
現在、本堂の北側(向かって右)では「二尊院普賢象桜」が咲いています。二尊院の名を冠した珍しい桜で、花弁は150~160枚ほどになるそう。千本ゑんま堂に伝わる、ゑんま堂普賢象とは違う系統の普賢象桜で、たいへん珍しいものです。10日の段階で見頃でした、まだ今週にかけてご覧いただけると思います。
なお、個人的におすすめなのが入り口の甘味処「四季庵」さん。昨年から拝観をしないと入れなくなっていましたが、丹波大納言小豆を使用したおぜんざいが600円と良心的なお値段です。焼いたお餅も2つ入っています。この小倉山の麓は「小倉あん発祥地」とされ、二尊院の境内には石碑も建っています。お時間許せばお立ち寄りください。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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