宇治田原町の正寿院にもほど近い場所に奥山田ハートフル化石広場があります。貴重な貝の化石も見られる公園です。
連日ご紹介している宇治田原町。地図で見る町の形がハート形にも見えることから「ハートの町」をテーマにPRしています。ハート形の猪目窓で知られる正寿院へと国道307号から下りたルートからもほど近い場所に、奥山田ハートフル化石広場があります。
2019年にできた公園で、奥山田小学校の敷地を公園としてリニューアルしたもので、芝生がハート形になっているのが面白いです。滑り台やボルダリングなど、子どもが遊べる遊具も設置。お手洗いもあります。
化石広場と銘打たれていますが、広場の一角に貝の化石が無造作に置かれています。持ち帰りは禁止ですが、ぎっしりと固まった様子や貝の形を間近で見ることができ、本物の化石を感じられる貴重な場所です。
この宇治田原町奥山田は、綴喜(つづき)層群が露頭していることでも知られ、広場に置かれているのは、国道307号のバイパス工事で出てきた石のようです。綴喜層群は新生代第三紀中新世の前~中期(約2000万年前から約1500万年前までの期間)の地質とされ、浅い海の底に堆積した貝を中心とする生き物が化石となって出土します。その頃は内陸にある宇治田原町が海の底だったことがわかります。
綴喜層群は、宇治田原町に広く分布しており、2015年には道路工事の際にイルカの下顎の化石が発見されて話題となりました。宇治田原町ではサメの歯の化石も発見されており、京都市青少年科学センターの展示も参考にすると、現在の伊勢湾方面から海が入り込み、一時期太平洋と繋がっている頃もあったのでないかと推察されています。なお、広場のキャラがイルカなのは、上述のように付近でイルカの化石が発見されているからでしょう。
2016年には、日本地質学会が選定した全国都道府県の石に、京都府内からは「綴喜層群の中新世貝化石群」が選ばれており(他にも鳴滝砥石、桜石も)、京都を代表する太古のロマンを感じられる場所と言えるでしょう。 奥山田ハートフル化石広場の化石は持ち帰り禁止な点に注意しつつ、間近で見学をしてみてください。また、宇治田原町総合文化センターの3階には化石の資料展示があるそうで、パネルによる解説、化石の実物標本の展示を見ることができるそうです。
ガイドのご紹介
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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