鳴虎・報恩寺の虎の絵公開

「京の冬の旅2022」の特別公開で、西陣にある鳴虎・報恩寺で虎の絵の公開が行われています。原本は16日まで、17日からは複製となります。

報恩寺 鳴虎図(現地の看板より)

報恩寺は通常は非公開のお寺ですが、京都検定を勉強された方は「撞かずの鐘」の伝説をご存知かもしれません。織屋の丁稚(でっち)と織子が、夕方に鳴る報恩寺の鐘の数で口論となり、丁稚は八つ、織子は九つと主張してお互い譲らず、負けた方は何でもすると約束しました。そして夕方になって鳴った数は“八つ”。丁稚の勝ちとなり、丁稚が織子を責め立てると、織子は悔しさの余り鐘楼に帯を掛けて首をくくってしまったといいます。

報恩寺 撞かずの鐘

実は、普段の鐘の数は九つでしたが、丁稚は寺男に今日だけは八つにしてくれと頼んでいたのでした。この一件以来、寺では鐘を撞かなくなり「撞かずの鐘」と呼ばれています。なお、大晦日の23時45分から鐘が撞かれ、事前に並んだ一般参加者も加わることが出来ます。10年前に録音した音色を載せておきます。

寺宝の鳴虎図は、いまから500年余り前の後柏原(ごかしわばら)天皇より下賜されたもので、中国の陶佾(とういつ)という絵師によって描かれた名品です。水を飲む虎の毛並みが大変美しく、立体的に見えるのが特徴です。

報恩寺 鳴虎図(現地の看板より)

寺にやってきた豊臣秀吉が、この絵を所望して聚楽第の床に飾ったところ、夜中に虎の鳴き声が聞こえて秀吉は安眠できず、すぐに寺へ戻されたことから鳴虎として有名になったと伝わります。普段は非公開ですが、寅年の正月三が日に公開があり、今年は「京の冬の旅」の特別公開(800円)で、16日までが原本が、 1月 17日~3月18日は原本と見分けがつかないほどの複製が公開されます。また、1月17日からは室町時代に作られた大黒天像が公開されるとのこと。戦国武将の黒田長政終焉の地でもあり、信長の肖像画も所蔵しています。この機会に訪れてみて下さい。なお、場所がややわかりにくいため、事前にご確認ください。地図へのリンクはこちらです。

報恩寺

ガイドのご紹介

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京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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「鳴虎・報恩寺の虎の絵公開」への4件のフィードバック

  1.  こんにちは
    報恩寺のブログ、興味深く読ませて頂きました。丁稚と織子、共に弱者の不条理物語に、鐘の音の動画も添えてあって、行きたくなりました。土日祝は出かけないようにしているので、レプリカでも伝説の鳴き虎も、いずれ見に行きます。
     これからのブログも楽しみにしてます。

    1. ももた様

      コメントありがとうございます。
      複製でも貴重な機会だと思いますので、よろしければご覧いただけますと幸いです。

  2. こんにちは。
    報恩時には今年1月12日に行きました。
    寅の絵など室内のものは写すことができません。
    写真に撮られたのですね。
    絵にしたいので写真を一時拝借して、絵を描き終わったら写真は削除します。

    「京ごよみ手帳 2022」は発行されたのでしょうか。
    書店にはありませんでした。

    1. お散歩うさぎさん

      報恩寺さんに行かれたのですね。
      写真は室内で撮ったものではなく、外に掲示をされていた看板を撮影しました。
      「京ごよみ手帳2022」の件、ありがとうございます。発売はされておりますが、大きな書店でないと置かれていないかもしれません。

      宮帯出版社様のホームページからご購入いただけます。
      http://www.miyaobi.com/publishing/products/detail.php?product_id=1068

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