兜山からの雪の久美浜

京都府京丹後市の久美浜。その象徴でもある兜山へは徒歩で登ることが出来ます。先日、雪の日に登ってきました。

兜山からの眺め

久美浜湾があるのは、京都府北部の京丹後市で、京都府の最西部にあたる地域。となりはもう兵庫県の豊岡や城崎(きのさき)です。湾とは呼ばれていますが、正確には潟湖(せきこ)で、小天橋(しょうてんきょう)と呼ばれる砂州によって日本海と隔てられています。淡水ではなく、海水と淡水とが混ざる汽水湖であるため、京都一大きい淡水湖の名は離湖に譲っているものの、旧熊野郡(現在の京丹後市久美浜町)の川はすべてが久美浜湾へと流れ込み、広大な面積を誇る風光明媚な水辺として知られています。

兜山からの眺め

久美浜湾の南側から湾岸に立つと目立つのが「兜山(かぶとやま)」です。標高191.7mの急峻な山は、まさに兜のような姿をしています。湾の南側から兜山を見ると「大」の文字が見えます。毎年8月9日は、千日会観光祭があって「大」の文字に灯りがともり、花火が打ち上げられて、湾には燈籠が流される美しい光景が見られます。

兜山からの眺め

兜山の上の展望台からは久美浜湾の素晴らしい景色が望めます。山頂へは道路もありますが、道が非常に狭く離合が困難ですので、山の東にある「かぶと山公園」に車を駐めて、徒歩で登るコースが一般的です。急峻な山とあって、なかなか大変です。雪の日に登るのは足下が悪く、あまりおすすめしませんのでご注意ください。登っていくとやがて「大」の文字の場所へたどり着きます。「大」は電気で灯されています。すでにここまで登ると景色は十分に綺麗です。

下から眺めた人喰岩

「大」を通り過ぎて兜山の南側に出ると「人喰岩」への分岐があります。特にこの場所は雪の日には立ち入らない方がよいでしょう。滑落の危険もあります。いちおう書いておきますと、分岐から下っていくとやがて山腹に突き出した大きな岩が現れます。岩に上に乗ることも出来ますが、安全柵などはなく、転落をすれば命はないレベルの落差ですので、足下の安全には十分にご注意下さい。人喰岩とはすごい名前ですが、その由来はもともと「智徳岩」と呼ばれていたものが、「シュトク岩」となり「ヒトクイ岩」と転化したという説、あるいは岩を下から見ると口を開いているように見えるからとの説、実際に人を喰ったとの伝承もあり、赤土が嫌いで口に赤土を塗ったら人を喰わなくなったなどの話があります。

熊野神社

人喰岩への分岐からさらに続く階段を登って行くと、やがて山頂への道路と合流。山頂も目の前です。山頂の手前には熊野神社があり、久美浜周辺の熊野郡の由来となったともされています。久美浜周辺には古代に川上摩須という豪族が勢力を持ち、その娘である川上摩須郎女(かわかみますのいらつめ)が丹波道主王(たにはのみちぬしのおう)の后となったと伝わります。二人の娘が第11代垂仁天皇の后となるヒバスヒメで、ヒバスヒメが皇后になったことを喜んだ川上摩須朗女の父の川上摩須によって建立されたと伝承されています。周辺にはこうした古代の伝承が多く、興味深い地域でもあります。

小天橋

さて、熊野神社から山頂に出ると、ウッドデッキの綺麗な展望台が現れます。2015年に整備され、美しい久美浜湾の眺めとともに絵になる場所です。久見浜湾は小天橋で外海と区切られていますが、小さな天橋立というその名も、この展望台から見れば納得です。小天橋は夏の時期に海水浴でも賑わいます。久見浜湾の雪景色も素晴らしい眺めでした。

久美浜のカキ棚

また穏やかな久見浜湾は牡蠣(カキ)の養殖が盛んで、そのカキ棚が浮かぶ光景は京都府の景観資産にも登録をされています。展望台からはどの方角を見ても美しく、険しい階段を登ってきたかいもあるでしょう。機会がありましたら、ぜひ登ってみて下さい。

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ガイドのご紹介

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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